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60A分電盤の選び方とおすすめメーカー・商品【リフォーム・リノベ】

みなさんこんにちは、DIY Renovaです。

自宅をリノベーション中で、分電盤(ブレーカーボックス)をどうするか悩んでいる方へ。 「将来、太陽光発電や蓄電池、EV充電器を導入するかもしれないけど、まだ先だし……」という方にも、「今すぐ再エネ対応したい!」という方にも役立つ、60A分電盤の選び方を徹底解説します。

この記事では、標準的な60A主幹分電盤を軸に、「初期費用」「将来対応力」「工事の難易度」の観点から、どんな家庭にどんな盤が合うのかをわかりやすく紹介します。

それでは、どうぞ。


分電盤って何?寿命はどれくらい?

分電盤は、家全体に電気を安全に分配する「電気の心臓部」です。エアコンやIH、照明などに電気を分けるだけでなく、漏電や過電流から家電や家を守る大切な役割があります。

家庭用分電盤の寿命は、一般的に「13〜15年」が目安とされています(日本電機工業会調査)。15年を過ぎると、内部のブレーカーや絶縁部品が劣化しやすく、動作不良や発熱リスクが高まるため、更新を検討する必要があります。

とくに、リフォームやフルスケルトン状態のときは絶好の交換チャンスです。壁を開ける必要がないので、後から替えるよりも工事費を大きく抑えられます。

60Aで十分?契約アンペアの考え方

「うちは60Aで大丈夫なの?足りなくなったらどうするの?」という疑問は、初めて分電盤を選ぶ方によくある質問です。

結論から言うと、一般的な戸建て住宅(3〜5人家族)では、60Aで十分足ります。むしろ、今の電力会社の契約体系やオール電化対応状況を考えると、60Aが“最大アンペア”の上限である地域も多く、基準として最も選ばれているのが60Aです。

アンペア数とは何か?

契約アンペア(A)とは、家全体で同時に使える電流の上限を示す数値です。電気は「電圧(V)×電流(A)=電力(W)」で計算されるため、60Aというのは、

  • 100V機器のみ使用:100V × 60A = 最大6000W(6kW)まで同時使用可能
  • 200V機器(IH・エコキュート・EV)使用時も含めると、実際は回路分割で効率的に供給

どれくらい使える?代表的な家電の目安

家電消費電力の目安備考
IHクッキングヒーター約3,000W同時に2口使うと5,000W超えることも
エアコン(大型)約1,000〜2,000W複数台稼働で注意
電子レンジ約1,300W高出力
電気ポット・ケトル約1,000〜1,200W一時的に高負荷
洗濯乾燥機(ヒートポンプ)約1,000〜1,500W稼働時間長め
EV充電器(6kWタイプ)約30A(200V時)専用回路必須

つまり、「IHで料理しながら洗濯乾燥機も回しつつ、電子レンジも…」というように同時使用が重なると、50A〜60Aを一時的に超える可能性もゼロではありません。

ただし、現在の分電盤や契約体系では「分岐回路ごとに過電流対策」がされているので、60Aを一瞬でも超えたからといって家中の電気が落ちるわけではなく、過負荷がかかった回路だけがブレーカで遮断されます

オール電化+EV時代に60Aは不安?

確かに、将来的にEV充電や大型の蓄電池を設置する場合、60Aを超える場面もあるかもしれません。

しかし、日本の大手電力会社(東京電力・関西電力など)では、契約アンペアの上限は原則60Aまで。これを超える場合は、「主開閉器契約(ブレーカ無契約)」や「低圧電力契約(業務用)」に切り替える必要があるため、住宅用としては特殊ケースとなります。

結論:迷ったら60AでOK

  • 一般家庭では60Aで十分足ります
  • 同時使用が多くなる暮らし方の場合は、分岐回路の分配・時間差利用で調整可能
  • 再エネ機器を後付けしても、専用回路を別で設ければ対応できる
  • どうしても不安な場合は、60A契約のまま「主幹ブレーカを75A対応盤」にしておくと将来契約変更がしやすい

つまり「迷ったら60A」で大丈夫。分電盤側での工夫と設計次第で、60A契約でも十分快適に暮らせます


今後の法律・制度変化を見据えるとどうなる?

2025年から、省エネ基準は300m²未満の住宅でも義務化。さらに2030年に向けて、政府は「新築住宅の6割に太陽光を標準搭載」する方針を掲げています。

つまり、今は再エネ導入予定がなくても、数年後には「必須」になってくる可能性が高いのです。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に対応するには、以下のような機能が必要です。

  • 回路ごとの電力計測(=HEMS連携)
  • 太陽光・蓄電池・EVの3電源セクション分離
  • 雷サージ保護(SPD)
  • 感震遮断装置(地震時に電気を自動遮断)

こうした機能を「後から追加」しようとすると、分電盤ごと交換になり、費用も手間も倍増してしまいます。

HEMSって何?どんな役割があるの?

HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭内の電力使用状況を“見える化”し、電力の無駄を減らすためのシステムです。

もう少しわかりやすく言うと、HEMSは「おうちの電力の家計簿+コントローラ」のような存在。照明・エアコン・IH・コンセントなど、家庭内のあらゆる電力使用をリアルタイムで把握でき、スマホやタブレットでグラフや数値として確認できます。

どうしてHEMSが必要なの?

現在のZEH補助金制度や、今後導入されるVPP(仮想発電所)・DR(デマンドレスポンス)といった制度においては、「家のエネルギーを管理できること」が必須条件になっています。HEMSがあることで、次のようなメリットが得られます:

  • 家の中の電気の使いすぎがわかり、省エネ意識が高まる
  • 太陽光発電の自家消費率を高められる(売電より自分で使う方が経済的)
  • 電気代の高い時間帯を避けて賢く使える
  • 蓄電池やEV(電気自動車)との連携で停電時の電力確保がしやすくなる

どんな種類があるの?

HEMSには大きく分けて2つのタイプがあります:

  1. 分電盤に最初から内蔵・連携されたもの(例:Smart Cosmo + AiSEG3)
     → 補助金対象、ECHONET Liteという共通通信規格に対応。ZEH対応住宅の主流です。
  2. 後から外付けで取り付けるタイプ(例:Nature Remo E2)
     → 分電盤を更新しなくても手軽に導入でき、見える化が可能。簡易的ながら補助金対応のものもあります。

HEMSを導入するには?

HEMSの導入には、「計測センサを分電盤に取り付ける」か、「すでに内蔵されたHEMS対応分電盤を設置」する必要があります。また、HEMS本体(コントローラ)はAiSEGやRemo E2など、家庭の使用状況に合わせて選びます。

再エネ・省エネの時代において、HEMSはただのオプションではなく「家の頭脳」と言えるほど重要な設備です。分電盤選びの段階から、HEMSに対応できる構成かをチェックしておくと、将来的な後悔を減らせます。


60A分電盤の選び方:4つのタイプ比較

タイプ初期費用補助金対応将来の拡張性おすすめ家庭
標準盤+外付けHEMS安い(3.5万〜)限定的(ブレーカ後付必要)費用優先・見える化したい人
レディ型(準スマート)中程度(7万〜)HEMSユニット後付で対応可能補助金狙い・中期でPV予定
フルZEH対応盤高い(13万〜)PV・蓄電池・EV全対応将来の再エネ導入が確定
標準盤+空配管安い×盤ごと交換前提10年以上導入予定なし

将来を見据えたおすすめ構成パターン

パターン1:とにかく安く済ませたい人に

  • 「標準盤」+「Nature Remo E2」などのECHONET Lite対応の外付けHEMSで回路別計測を実現
  • 空きモジュール(スペース)を2〜4個確保しておくとPVブレーカ後付可能
  • 将来PVを導入する際には、40Aの太陽光用ブレーカを差し込むだけで対応可能

パターン2:補助金を狙いつつ最低限の拡張性を確保

  • Panasonicの「Smart Cosmo BHR86142J」などのレディ型盤を導入
  • 初期費用は高くなるが、センサー配線・通信ハーネスは工場出荷時に実装済み
  • 将来AiSEGなどHEMSコントローラを後付けすることで、ZEH補助金の要件も満たせる

パターン3:今後の再エネ導入がほぼ確定している場合

  • Panasonic「BHMF86222J」など、PV/蓄電池/EV充電器のブレーカやSPD、感震遮断装置もすべて内蔵したZEH完全対応型を選ぶ
  • AiSEG3などを組み合わせれば、VPPやDR(電力需給応答)にも対応可能
  • 補助金(ZEH最大60万円、GX志向型は最大160万円)の対象として申請しやすい

盤交換は意外と大変。スケルトン中の設置が断然お得

よく「アンペア数が変わらないなら、あとから簡単に交換できるのでは?」と思われがちですが、実際はそう簡単ではありません。

既設住宅で分電盤を交換する場合:

  • 壁の開口・補修が必要(クロス・石膏ボード)
  • 電力会社への一時停電申請
  • 電源線や接地線の延長・再圧着
  • 工事時間は4〜6時間、費用は7〜10万円前後

一方、スケルトン中に設置する場合:

  • 壁の仕上げ前に配線も完了できる
  • 工事時間2〜3時間、費用5〜7万円程度

つまり、「今」入れておくことで、将来の追加費用と手間を大きく削減できるのです。


工事のポイントと注意点

  • 必ず「第二種電気工事士」以上の有資格者が施工すること(法律上義務)
  • 分電盤交換時には、絶縁抵抗試験・接地抵抗測定も行うこと(火災予防)
  • 太陽光・蓄電池を後付けする予定があるなら、事前にPF管(直径22mm)を2系統分敷設しておくとスムーズ
  • 将来EV充電を考えるなら、200V 2P2E専用ブレーカを設置できるように空モジュール3つ以上確保しておくと良い

結論:あなたにとっての「最強の分電盤」とは?

  • とにかく安く、でも最低限の将来性も欲しい → 標準盤+外付けHEMS
  • 補助金も活かしながら、ゆるやかに再エネ対応 → レディ型盤(準スマート)
  • 再エネ導入がほぼ確定、盤も一度で済ませたい → ZEH対応型を初期導入

どの選択肢でも、「空き回路を確保しておく」「配管を先に通しておく」などの工夫次第で将来の自由度は大きく変わります。

そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!


参考にさせていただいた資料・製品・サイト

  • Panasonic Smart Cosmo シリーズ公式ページ
  • 河村電器 Eco-Eye・クラウドHEMS
  • Nature Remo E2 製品情報
  • 経済産業省・国交省 ZEH関連発表資料
  • 日本電機工業会 「分電盤の寿命に関する調査報告」
  • 電気工事士法およびPSE法(簡単な解説)

この記事が、将来を見据えた住宅づくりやDIYリノベのお役に立てば幸いです。

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