屋根の下につける破風板をガルバリウムで用意する【DIY】

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みなさんこんにちは、DIY Renovaです。

破風板(はふいた)は、屋根の妻側(切妻の三角面の端)で「風を受ける最前線」になりやすい部材です。塗装が切れたり、木口から吸水したりすると、腐朽→板の反り→雨水が入りやすい形になって一気に傷みます。そこで定番なのが、木の破風板を「ガルバリウム鋼板で包む(板金巻き/破風包み)」工法です。塗装メンテの回数を減らし、端部の耐久性を上げるのが目的です。

この記事は「日本の木造・最大2階」を前提に、完全DIYで発注〜施工まで迷わないよう、寸法の考え方・数量の出し方・施工ピッチなど「定量」も入れてまとめます。
※高所作業なので、足場や墜落防止の準備は必須です(安全の話は最小限に留めますが、ここだけは削れません)。

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また、本資料が必ず正しいということではなく、あくまで参考情報としてみてくださいね。やり方は千差万別。

それでは、どうぞ。


Table of Contents

考慮すべき設備・備品など

まず用語を統一(ここがズレると発注が事故ります)

  • 破風板:妻側(ケラバ側)で屋根の端に付く板
  • 鼻隠し:軒先側の板
    今回は「破風板(妻側)」が主役です。ケラバ(屋根の妻側端部)納まりと強く関係します。

ガルバリウム鋼板の前提(材料選定の根拠)

一般に「ガルバリウム鋼板」は、55%アルミ-亜鉛合金めっき鋼板としてJISで規格化されています(JIS G 3321)。規格工房.
破風包みで使うのは多くが「カラーガルバ(塗装品)」か、より耐食性を強化した同等材です(商品名は各社で違います)。

必須材料(DIYで詰まるポイント=“役物”と“留め方”)

  1. 破風包み用の板金(役物)複雑な形をしている屋根の場合は自分たちで加工できるよう板金コイルで先に現場に用意しておくことが重要なようです(Youtube参照https://www.youtube.com/watch?v=_4KPZt9DWek )
  • もっとも一般的:一枚板を折り曲げ加工した「コの字+返し」形状(後述)
  • 施工性アップ:端部を「耳折り(ハゼ)」で硬くした仕様(板が波打ちにくい)
  1. 継手(ジョイント)用の止水材
  • ブチルテープ(板金の重ね部に強い)
  • 変成シリコン/ポリウレタン系シーリング(釘頭・端部の雨仕舞に使用)
  1. 固定用ファスナー(ここはケチると将来の赤錆が出やすい)
  • ステンレス系のスクリュー釘/ビスが使われますが、異種金属接触による電食(ガルバニック腐食)に注意が必要です。鋼板メーカーは「ステンレスとの接触でも腐食が起きうるため、絶縁(ゴム・コーキング等)を推奨」と注意喚起しています。niscs.nipponsteel.com.jisf.or.jp.
    対策としては、
    • 「パッキン付き(EPDM等)ビス」を使う
    • 可能なら“電食対策”をうたうファスナーを選ぶ(例:表面処理で腐食を抑制するタイプ)jpf-net.co.jp
    • どうしても不安なら、接触部にブチル/ゴムシートで絶縁
      が現実解です。
  1. 下地材(状態により)
  • 腐朽がある:破風板の交換材(杉/米松等)または構造用合板・補強材
  • 面がガタガタ:胴縁(例:18×45など)で“板金が真っ直ぐ見える面”を作る
  1. 端面・切断部のケア
  • タッチアップ塗料(カラーガルバの切断端部の保護)
  • 切粉清掃用のブラシ(切粉放置はサビの原因になりやすい)

「定量」で押さえる:板金は温度で伸びます

金属は温度変化で伸び縮みします。鋼板の線膨張係数の目安は約12×10^-6/℃で、伸びは
「ΔL=L×a×10^-6×ΔT」
で見積れます。JFE鋼管
例:破風1本あたり長さ3.64m、夏冬で表面温度差ΔT=50℃とすると
ΔL ≒ 3640mm × 12×10^-6 × 50 ≒ 2.18mm
つまり、継手や突き当てを「ピッタリ寸法」にすると、季節で“泣き(波打ち)”や浮きの原因になります。発注・施工で「逃げ(クリアランス)」を用意します。


施工順序(全工法共通の“事故らない流れ”)

0. 現状確認(5分でいいので必ず)

  • 破風板が腐っていないか(指で押して凹む/ビスが効かない→交換ルート)
  • ケラバ水切り・屋根材端部・防水紙の状態(ここが崩れてると、破風だけ綺麗でも漏れます)
  • 破風の直線性(糸を張る:中央が出っ張る/引っ込む→胴縁で調整)

1. 既存の付帯物を外す(外す順番が雨仕舞に直結)

  • 既存の板金(あれば)→既存の破風板周りの見切り材→必要に応じてケラバ側の役物
    ※「上に被さっているもの」から外す。戻すときも逆で「下から上へ重ねる」が雨仕舞の鉄則です。

2. 下地を直す(ここをサボると“板金が波打って台無し”)

  • 腐朽部は交換 or 充填補修ではなく“材ごと更新”が基本
  • 面が出ない場合は胴縁で“板金の面”を作る

3. 防水・止水の仕込み(板金の重ねと釘頭)

  • 継手部:ブチルテープ
  • 釘頭・ビス頭:シーリング(必要な箇所だけ。塗り過ぎは汚れやすい)

4. 板金(破風包み)を取り付け

  • 仮合わせ→本固定→継手処理→端部処理→最終点検

工法は複数ある:全部書き出し&選び方

工法A:既存破風板に「板金巻き(カバー工法)」

  • 向いている:木がまだ健全/塗装メンテを減らしたい/最短で仕上げたい
  • 注意点:下地が波打っていると、そのまま外観に出ます

工法B:破風板を交換・補強してから「板金巻き」

  • 向いている:腐朽・反りがある/釘が効かない/強風でバタついた跡がある
  • 注意点:交換後に“面出し”をしてから板金へ(ここが仕上がりを決めます)

工法C:屋根材システムの「ケラバ包み・役物」で納める(屋根メーカー準拠)

  • 向いている:屋根材が金属屋根で、メーカー役物が揃う場合
  • 根拠例:メーカー施工マニュアルには「けらば包み」などの役物と下地寸法、固定具が具体的に示されます。niscs.nipponsteel.com.
  • 注意点:屋根材システム依存なので、破風“だけ”更新の現場では採用しにくいことがあります

発注方法(DIY最大の山場)—「何を」「どう伝えるか」

DIYで現実的な発注先は次のどれかです。

  • 近所の板金加工店(いわゆる“板金屋さん”)
  • 屋根材・外装材を扱う建材店(役物加工に対応)
  • 自分で曲げる(ベンダーが必要。現場DIYだと難易度高。かなりパワーが必要です)

発注に必要な情報(これをそのまま渡せば通じます)

  1. 材質:JIS G 3321相当の55%Al-Znめっき鋼板、塗装品(カラーガルバ等)規格工房.
  2. 板厚:0.35〜0.5mmが現実的(厚いほど波打ちにくいが、加工性と価格が上がる)
  3. 色:外壁・屋根・雨樋との相性(艶あり/艶消しも指定)
  4. 形状:断面図(手描きでOK)
  5. 寸法:
  • 破風の「見付幅」(外から見える幅)
  • 破風の「厚み」(板の厚さ)
  • 屋根側に入る「折り返し/水返し」寸法
  • 外壁側の「かぶり」寸法
  1. 長さと本数:
  • 1本の最大長さ(搬入の都合で3.6mや4mが限界になりやすい)
  • 継手位置(目立たない場所に寄せる)
  1. 継手仕様:
  1. 端部:耳折り(先端を折って“鋭利さ”と“フラつき”を減らす)指定

断面形状のおすすめ(発注しやすく、施工もしやすい)

破風板を木下地に被せる場合の基本は「コの字+返し」です。

  • 外壁側:外壁へ数十mmかぶせる(雨が裏に回らない)
  • 下面:破風板の下面を包む(木口を隠す)
  • 屋根側:10〜20mm程度の「水返し」を付ける(毛細管で水が入りにくくなる)
  • 先端:耳折り(5〜10mm)で剛性UP

これを手描きで寸法入りスケッチにして渡すのが最短です。


施工方法(ステップバイステップ)

以下は「工法A(既存に巻く)」を主軸に、必要に応じて工法Bへ分岐できる書き方にします。

施工前の準備(材料の数量を“計算で”出す)

1) 板金本数

  • 破風の総延長を測る(例:片側7.28m、両側で14.56m)
  • 1本の発注長さを3.64m(2間)にするなら
    14.56 ÷ 3.64 = 4本(継手3箇所)
  • 継手の重ね代を100mm取るなら、継手1箇所につき“100mm余計に必要”です
    → 3箇所 × 100mm = 300mm分をどこかの本数で吸収(例:端の1本を少し長くする)

2) ビス(釘)本数

固定ピッチは資料に幅があります。例えば、通気下地屋根構法の要領では、板金役物を「500mm以下間隔」でステンレススクリュー釘固定する記載があります。国土交通省国土技術政策総合研究所.
また公共建築の標準仕様書では、けらば包みの下地取付け間隔が「1m程度」、継手重ね等も規定されています。国土交通省
DIYで風を受けやすい破風は「500mm以下」を基準にしておくのが無難です(角部はさらに詰める)。

  • 例:1本3.64m、ピッチ450mmで打つ
    3640 ÷ 450 ≒ 8.1 → 9点/本
    4本なら 9×4 = 36本
    継手や端部の増し打ちを見込んで「1.3倍」→ 約47本
    端数込みで50本入りを1箱、が気持ちよく収まります。

手順1:既存の状態を“壊し過ぎず”に露出させる

  1. 破風板まわりの古いコーキングをカッターで切る
  2. 既存板金がある場合、リベットや釘を抜いて撤去
  3. 釘穴・欠け・腐朽を確認
  • 釘がスカスカ:工法Bへ分岐(下地交換)
  • 問題なし:工法A続行

手順2:下地調整(仕上がりが決まる工程)

  1. 反りがある場合は、胴縁で“真っ直ぐな面”を作る
  2. 破風の上端(屋根側)に段差がある場合は、当て木で段差を消す
  3. 木口・欠け部はパテより“木片の埋め木+ビス”が確実(板金の面圧が安定する)

手順3:仮合わせ(ここで8割決まります)

  1. 破風包みを当てて、
  • 屋根側の水返しが効いているか
  • 外壁側のかぶりが取れているか
  • どこかが突っ張って浮かないか
    を確認
  1. 継手位置を決める(目線の高さ・正面から見える位置を避ける)

手順4:継手の止水(ブチルの出番)

  1. 重ね代(例:100mm)を確保
  2. 重ね内側にブチルテープを“2本ライン”で入れる(端に寄せすぎない)
  3. 上から被せて圧着
    (屋根系の施工要領でも、ジョイント部に重ね代を設け、止水する考え方が示されています)株式会社ヤマチコーポレーション 建材事業部.

手順5:固定(ピッチは“外周ほど細かく”)

  1. 端部から固定して、最後に中央を合わせる(板金の波打ち防止)
  2. 固定具は「500mm以下」を基準に配置(角部はさらに詰める)国土交通省国土技術政策総合研究所.国土交通省国土技術政策総合研究所.
  3. パッキン付きビスの場合、締めすぎるとパッキンが潰れて逆に漏れやすいので、
    「パッキンが均一につぶれて、はみ出しすぎない」程度で止める

手順6:釘頭・端部の処理(必要最小限で)

  • 釘頭(ビス頭)にシーリングを“ちょん付け”
  • 継手の先端(風でめくれやすい側)にシーリングを少量
  • 切断端部が見える場合はタッチアップ

手順7:最終点検(“水の道”ができているか)

  • 上から下へ、外へ水が逃げる形になっているか
  • どこかに「水が溜まるポケット」がないか(溜まりは腐食・汚れの原因)
  • 異種金属が直接触れていないか(電食対策)niscs.nipponsteel.com.jisf.or.jp.

商品例(選び方が伝わる形で)

※特定商品の購入誘導ではなく「仕様の例」です。

  • 板金:JIS G 3321相当のカラーガルバ(屋外建材向け)規格工房.
  • 役物:屋根材メーカーの施工マニュアルにある「けらば包み/破風まわり役物」形状は、納まりの参考になります(図が具体的)。niscs.nipponsteel.com.
  • 固定:ステンレス系ファスナーは一般的だが、電食リスクの考え方と対策(絶縁)が重要です。niscs.nipponsteel.com.jisf.or.jp.
  • 変成シリコン コーキング
  • 「タッチアップ 塗料 ガルバ」

施工方法(工法B:破風板交換が必要な場合の分岐)

いつ交換すべき?

  • 指で押して凹む
  • 釘やビスが空転する
  • 破風板が反って板金が密着しない
    この場合、板金で隠しても中で腐朽が進み、固定が効かずバタつきやすいです。

手順(要点だけ抜粋)

  1. 既存破風板を撤去(周辺の役物を傷めないように順に外す)
  2. 新しい破風板を取り付け、糸張りで通りを出す
  3. 必要なら胴縁で面調整
  4. 以降は工法Aの「仮合わせ→止水→固定→端部処理」へ合流

考慮すべき点チェックリスト(設計・発注の前に)


施工チェックリスト(当日の手順管理)

  • 既存コーキングを切ってから撤去した(無理に剥がして木を割らない)
  • 下地のガタを胴縁・当て木で修正した
  • 仮合わせで浮き・突っ張りを潰した
  • 継手にブチルを入れて圧着した
  • 固定は端部→中央の順で行った(波打ち防止)
  • 釘頭(ビス頭)と必要箇所だけシーリングした
  • 切粉清掃をした(切粉放置はサビ原因になりやすい)

材料チェックリスト

  • 破風包み板金(必要本数+予備)
  • 継手用ブチルテープ
  • シーリング(変成シリコン等)
  • タッチアップ塗料(切断端部用)
  • [ ](必要なら)胴縁、当て木、交換用破風板
  • [ ](電食対策で)パッキン付きビス、絶縁材(ゴム・ブチル等)niscs.nipponsteel.com.jisf.or.jp.

道具チェックリスト

  • インパクト/ドリル
  • 板金ハサミ(直線・曲線)/ニブラー(あると楽)
  • コーキングガン
  • スケール、差し金、墨つぼ、糸
  • ハンマー(スクリュー釘の場合)
  • 清掃ブラシ(切粉用)
  • 高所作業に必要な最低限の安全装備(ここは省略しません)

Q&Aコーナー(破風板ガルバ巻きDIYでよくある疑問)

Q1. そもそも「破風板幅(見付幅)」って何ですか?どこを測る?

A. 「見付幅」は、外から見たときに見えている破風板(または破風包み板金)の“正面の幅”のことです。
測り方はシンプルで、妻側から見て「外壁面(または外壁の仕上げ面)〜破風板の外側端」までをメジャーで測ります。

  • 外壁がモルタル・サイディングなどで“面が凸凹”している場合は「一番外に出ている面」を基準にします。
  • 雨樋や金具が干渉している場合は、その干渉物を避けた位置で測って「板金が通る面」を決めます。

Q2. 破風板幅(見付幅)はどう決めるのが正解?「大きめに覆う」ほど良い?

A. 基本は「既存の破風板が見える幅+外壁側にかぶせたい量」で決めます。大きければ良いわけではなく、次の3点のバランスで決めるのが現場で強いです。

  1. 木口(破風板の端)を確実に隠す
  • 木が露出すると吸水・劣化が進みやすいので、「木口が完全に隠れる」寸法は必須です。
  1. 外壁側への「かぶり」は取りすぎない
  • 外壁側へかぶせすぎると、外壁の凹凸で板金が浮いたり、シーリングが必要な範囲が増えて汚れやすくなります。
  • 目安としては、外壁側のかぶりは「10〜30mm程度」から検討すると納まりやすいです(外壁の仕上げ形状で上下します)。
  1. 屋根側の「水返し(返し)」を確保する
  • 屋根側に「10〜20mm程度」の水返しをつけておくと、毛細管で水が入りにくくなります。

Q3. 破風板の「厚み」はどうやって決める?既存の木が歪んでます…

A. 破風包み板金の寸法は「破風板の厚み(木の厚さ)」が超重要です。基本は既存の破風板の厚みをそのまま測って、それに合わせて発注します。

ただし、歪みや腐朽で厚みが一定じゃない場合は次の順で決めると失敗しにくいです。

  • まず「一番厚いところ」を測る(ここに合わせないと板金が入らない)
  • 次に「薄いところとの差」を確認
  • 差が大きい場合(例:2〜3mm以上)
    • 先に胴縁や当て木で面を整えて「板金が入る形状」に揃える
    • その上で板金寸法を確定する

「板金を先に作って、木がボコボコのまま押し込む」は波打ち・浮き・隙間の原因になりがちです。


Q4. 板金の「板厚(0.35mmとか0.4mmとか)」はどれがDIY向き?

A. 迷ったら「0.35〜0.4mm」を基準にするとバランスが良いです。

  • 0.35mm:加工しやすい・軽い・コスト抑えめ。ただし下地が荒いと波打ちが目立ちやすい
  • 0.4〜0.5mm:波打ちにくい・剛性が出る。ただし加工はやや硬くなる、コストは上がりやすい

下地を丁寧に整えられるなら薄めでも綺麗に仕上がります。下地が荒い現場ほど、板厚を上げるメリットが出ます。


Q5. 破風包み板金の「重ね代(ジョイント)」はどれくらい必要?

A. DIYなら「60〜100mm」を目安にしておくと安心です。
重ね代が短いと、風で“めくれ”やすく、止水材の効きも弱くなります。

  • 重ねの内側に「ブチルテープ」を入れて圧着
  • 風上側が下、風下側が上になるように重ねる(基本は「上から下へ水が流れる」向き)

Q6. 継手(ジョイント)の位置はどこに作るのが良い?

A. 外観と耐久性の両面から、次が現実的です。

  • 目線の高さの正面を避ける(見た目の違和感が出やすい)
  • 可能なら「破風の端から少し内側」へ寄せる(風圧の集中を避ける)
  • 左右で位置を揃えると見た目が整う(片側だけ変だと目立ちます)

Q7. 固定ピッチ(ビス間隔)はどれくらいが妥当?

A. 迷ったら「500mm以下」を基準に、端部・継手周りはさらに詰めるのが無難です。

  • 端部:200〜300mm程度まで詰めるとバタつきに強い
  • 継手周り:継手の前後は固定点を増やす
  • 真ん中:400〜500mm程度

ポイントは「風で一番バタつくところ(端・角・継手)」を厚めに固定することです。


Q8. ビスはステンレスでいい?電食(でんしょく)が怖い…

A. ここは悩みどころですが、考え方はこうです。

  • ステンレスは強い反面、組み合わせや環境で「異種金属接触による腐食」が起こり得ます
  • 対策は「パッキン付きビス」「絶縁材」「過度な水溜まりを作らない」
  • ビス頭の締めすぎはNG(パッキン潰れ=漏れやすい)

つまり「材だけで解決」より「納まりと絶縁と排水」で勝つ方がDIYでは堅いです。


Q9. 板金をピッタリ寸法で作ったほうが綺麗じゃない?クリアランス要らない?

A. 金属は温度で伸び縮みするので、ピッタリすぎると季節で歪みや浮きが出やすくなります。
長さ方向は特に「逃げ」が必要です。

  • 長尺(3m超)なら、数mmの伸び縮みは普通に起こります
  • 継手を作る、突き当てに余裕を持つ、締めすぎない
    この3点で“暴れ”を抑えられます。

Q10. 破風板がちょっと腐ってるだけなら、板金で隠してOK?

A. 「固定が効くかどうか」が判断基準です。

  • ビスが効く、木がしっかりしている → 工法A(カバー)でも成立しやすい
  • 指で凹む、ビスが空転する、粉が出る → 工法B(交換・補強)推奨

板金はあくまで「外装」なので、下地が弱いと“固定できない外装”になってバタつき・隙間の原因になります。


Q11. 自分で板金を曲げて作るのは可能?DIYで現実的?

A. 不可能ではないですが、仕上がりを安定させるには「ベンダー(折り曲げ機)」がほぼ必須です。
ハンドツールだけで長尺を真っ直ぐ折るのは難易度が上がります。

DIYで最も堅いのは、寸法スケッチを作って「板金加工店に役物加工で発注」し、現場は取り付けに集中するやり方です。


Q12. 発注のとき、板金屋さんに何を渡せば話が早い?

A. 次の4点が揃うと一発で通じます。

  1. 断面スケッチ(手描きでOK、寸法入り)
  2. 長さリスト(本数、最大長さ、継手重ね代の方針)
  3. 材質・板厚・色(例:カラーガルバ、0.4mm、色名)
  4. 端部仕様(耳折りあり/なし、返し寸法)

「写真+スケッチ+寸法」があると、現場の誤差も含めて提案してくれることが多いです。


Q13. 破風板の色はどう選ぶと失敗しない?

A. 「屋根」「雨樋」「外壁」のどれと合わせるか、優先順位を決めると迷いが減ります。

  • 屋根が濃色 → 破風も濃色寄せで締まる
  • 外壁が明るい → 破風を中間色にすると浮きにくい
  • 雨樋と同色 → 付帯がまとまって見える

見た目は好みですが、「付帯(破風・鼻隠し・雨樋)を同系色でまとめる」と、DIYでもプロっぽい一体感が出やすいです。


Q14. 「波打ち」や「ガタつき」を起こしやすい典型ミスは?

A. よくあるのはこの5つです。

  • 下地がボコボコのまま被せる
  • 端から固定せず中央から固定して歪む
  • 継手の止水を省略する(ブチルなし)
  • ビスを締めすぎてパッキンが潰れる
  • 切粉を掃除しない(切粉サビが点々と出る)

このあたりを潰すだけでも、DIYの完成度が一段上がります。


Q.15 金属破風板(ガルバ包み)の固定は釘?ビス?—動画が釘でも「間違いじゃない」理由とDIYの選び方

結論から言うと、金属破風板(=木下地の破風板をガルバ等の板金で「包む」破風包み)では「釘もビスも使われます」。なので、動画で釘を打っている職人さんが即「間違い」ということにはなりません。現場では用途と納まりで使い分けています。

  • 「釘が普通に使われる」根拠(=よくある実務)
    金属屋根の端部役物(ケラバ包み等)の施工例では、破風側に噛み込む役物を「スクリュー釘で固定」と明記している例があります。これは屋根材そのものではなく「端部の板金役物」の固定で、破風包みと発想が同じです。ie-shuri.com
    つまり、板金を木下地に留める行為自体が「釘前提で成立する」世界です。
  • 「ビスが使われる」根拠(=補修や増し締めの定番)
    端部板金で釘が浮いたり外れかかった場合に「ビスを増し打ちして強固に固定する」と説明している業者サイトもあります。ヤネ屋さん
    これは、釘がダメというより「状況によってビスが合理的」なだけです。

じゃあ、なぜ動画は釘が多いの?(金属破風板に限定して)

金属破風板(破風包み)で釘が多いのは、だいたい次の理由です。

  • 施工スピードが出る(釘打ち機+コイル釘)
  • 釘頭が比較的小さく、見た目がうるさくなりにくい
  • 「スクリュー釘(リング釘系)」を使えば、普通釘より抜けにくい方向に寄せられる(端部板金でも「スクリュー釘で固定」という実例がある)ie-shuri.com

つまり「釘=手抜き」ではなく、「釘でも性能が出る釘種・納まりにしている」ケースが多いです。


金属破風板で釘とビスを分ける“実務的な基準”(DIY向けに明確化)

ここからは「屋根材ではなく金属破風板(破風包み)」に絞って、判断基準をズバッと整理します。

  • 釘(特にスクリュー釘)が向く条件
    • 下地の木が健全で、釘がしっかり効く(空転しない)
    • 施工量が多く、スピード優先
    • 釘頭を小さく抑えたい(外観重視)
    • 端部板金の実務でも「スクリュー釘固定」が普通に出てくる納まりに寄せたい ie-shuri.com
  • ビスが向く条件(DIYはだいたいここに寄りやすい)
    • インパクトしかない(=一般的DIY装備)
    • 破風板が古く、釘が浮く未来が心配(過去に釘浮きがある等)
    • 板金を押さえながら微調整したい(ビスは締め込み量をコントロールしやすい)
    • 釘浮き・外れが出た箇所の「増し締め・補修」目的(ビス増し打ちが定番として説明される)ヤネ屋さん

「彼らが間違っているの?」への答え(ここだけストレートに)

「釘を使っている=間違い」ではありません。
ただし、次のどれかを満たしていない動画は「その現場ではたまたま大丈夫でも、DIYが真似すると失敗しやすい」ことがあります。

  • 釘が「普通釘」なのか「スクリュー釘」なのかが不明(抜け抵抗が変わる)
  • 下地が腐っている/痩せているのに釘でいっている(保持力不足になりやすい)
  • 固定間隔が荒いのに端部の風圧を甘く見ている(バタつきや浮き)
  • 釘頭・継手の止水処理が雑(浸水→下地劣化の引き金)

金属破風板で「固定間隔は結局どれくらいが普通?」(一般レンジの考え方)

金属破風板“専用”で全国共通の一行ルールは出しにくいですが、木造の造作材の釘打ち間隔として「端部から逃げた位置から、間隔300〜450mm程度」という公的仕様書の一般記述があります(あくまで木工の一般値ですが、外周部材の留め付けピッチ感として参考になります)。国土交通省
この“300〜450mm級”は、端部板金でも現場の感覚と近いことが多いです。

DIYの現場では、迷ったらこうすると事故りにくいです(金属破風板に限定):

  • 基本ピッチ:300〜450mmの範囲で「450mm以下」を目安
  • 端部・ジョイント前後:基本より詰める(バタつきが出やすいのは端と継ぎ目)

最後に:あなたが「釘で行くか、ビスで行くか」一発で決める簡易ルール

  • 破風板(木下地)が健全で、施工スピードと外観を重視 → 「スクリュー釘」寄り
  • 下地が怪しい/調整しながら締めたい/補修も見据える → 「板金用ビス」寄り(釘浮き対策としても定番の考え方がある)ヤネ屋さん

1) 「一般的にはいくつ?」⇔「DIYではいくつがおすすめ?」早見表

※前提:ここでの数値は「屋根端部役物(ケラバ水切り/ケラバ包み/棟包み等)」で明確に書かれている“重ね代・固定ピッチ・水返し寸法”の実例を根拠にしています。破風包み(破風板をガルバで巻く)も同じ“端部役物”なので、DIY判断のベースとして使えます。

A. ジョイントの重ね代(ラップ)

項目一般的(仕様・要領の記載)DIY推奨(理由)
重ね代60mm以上(公共標準仕様の例) 塩化ビニル管・継手協会 / 50〜100mm(立平系マニュアル例) イヌイコ. / 100mm以上(役物ジョイントの例) 〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥.基本100mm(迷ったら)+重ね内にブチル/防水テープ or シーリング。多くの住宅向け要領で“100mm以上”が普通に出てくるため、DIYはここに合わせると説明責任も取りやすいです。 〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥.

B. 固定ピッチ(ビス・釘の間隔)

項目一般的(仕様・要領の記載)DIY推奨(理由)
端部役物の固定ピッチ455mm以内(シングル系) 新東株式会社 / 480mm以内(役物固定の例) 〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥 / @450mm(吊り子等の例) 株式会社ヤマチコーポレーション 建材事業部平場:〜450mm端・角・ジョイント前後:200〜300mm。一般値(450〜480mm)に寄せつつ、端部だけ詰めると“バタつき・浮き”に強くなり、材料追加も最小で済みます。根拠となる一般値は上記要領の450〜480mmです。 株式会社ヤマチコーポレーション 建材事業部.〖三州瓦〗防災瓦の株式会社鶴弥.

C. 水返し(立ち上がり寸法)

項目一般的(仕様・要領の記載)DIY推奨(理由)
水返しの立ち上がり10mm or 15mm(水返し付き役物の例) 株式会社ヤマチコーポレーション 建材事業部基本15mm(干渉しないなら)。風雨時の“吹き上げ”に対して、10mmより余裕があるため。干渉(屋根材や納まり)がある場合のみ10mmへ落とします。 株式会社ヤマチコーポレーション 建材事業部

2) 「新しく破風板を作る場合」理想幅は何mm?結論:条件で変わります(ただし決め方は固定できます)

結論の考え方

新設の破風板幅(見付高さ)は「見た目の好み」より先に、“覆うべき高さ(必要寸法)”を実測で決めるのが一番ミスりません。なぜなら、日本の木造2階建てでも屋根の構成(野地厚、通気層、屋根材、軒天の仕上げ位置)が家ごとに違うからです。

そのうえで、現実には市場でよく流通する幅があり、例えば破風関連の既製サイズとして 150/180/210/240 が普通にラインナップされています(=この辺が「一般的な幅のレンジ」と見てよい)。 ニチハ
木材の破風板・鼻隠しでも 150/180/210/240/270/300 といった幅が流通しています。 三浦製材.


3) 新設破風板幅の「決め方」:DIYで迷わない実測→規格選定

手順1:必要な“覆い高さ”を現場で測る

以下を妻側(ケラバ側)で測ります。

  • 測る寸法:
    A =「軒天の仕上げ面の下端」→「屋根の野地板(または垂木上端)側の基準点」までの高さ
    ※要は「破風板で隠したい高さ」です。

次に余裕を足します。

  • 余裕:
    B = 10〜20mm(施工誤差・木の反り・将来の微変形の逃げ)

必要破風板幅(目安) = A + B

手順2:市場の規格幅に“切り上げ”る

出た数字を、次の規格へ切り上げます(例:164mmなら180mm)。

  • よくある規格レンジ例:150/180/210/240(+270/300もあり) ニチハ.

4) 条件別の具体例:「こういう家なら何mmが理想?」(例は全部“決め方”に沿って出します)

例1:シンプルな屋根で、覆う高さAが小さい家

  • 実測:A=135mm
  • 余裕:B=15mm → A+B=150mm
  • 選定:150mmが理想(=最小クラスで成立)
    この150は一般に流通している標準側のサイズです。 ニチハ.

例2:通気層や仕上げの取り合いで、Aが中くらいの家(よくある)

  • 実測:A=165mm
  • 余裕:B=15mm → 180mm
  • 選定:180mmが理想(“迷ったらここ”になりやすい)
    180も標準ラインナップとして普通に存在します。 ニチハ.

例3:屋根が厚め(通気下地・厚い野地・納まりでAが大きい)

  • 実測:A=195mm
  • 余裕:B=15mm → 210mm
  • 選定:210mmが理想(足りなくて木口が出るのが一番危険)
    210も標準レンジです。 ニチハ.

例4:意匠で深めに見せたい/取り合いが多くて余裕が欲しい

  • 実測:A=220mm
  • 余裕:B=20mm → 240mm
  • 選定:240mmが理想(“覆い不足”を回避しやすい)
    240も標準レンジに入ります。 ニチハ.

5) 破風包み(ガルバ)寸法設計に落とすときの「一般値⇔DIY推奨」まとめ

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参考文献・参考動画

  • JIS G 3321:2019(溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯)規格工房
  • 「ガルバリウム鋼板とは?」(JIS規格への言及あり)コーベマグ
  • JFE鋼板 建材カタログ(線膨張係数と伸び計算式の例)JFE鋼管
  • 国総研:通気下地屋根構法の設計施工要領(案)—板金役物の固定間隔(500mm以下)国土交通省国土技術政策総合研究所.
  • 国交省:公共建築工事標準仕様書(建築工事編)—けらば包みの取付け間隔・継手の考え方国土交通省
  • 日本製鉄:めっき・塗装鋼板の注意(異種金属接触による電食、絶縁推奨)niscs.nipponsteel.com
  • 日本鉄鋼連盟:塗装/亜鉛系めっき鋼板の異種金属接触さび防止方法(電食対策)jisf.or.jp
  • 施工イメージ動画(破風板 板金巻き)
    • 破風板の板金巻き作業の様子(YouTube)YouTube

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