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DIYリフォームで柱の入れ替え・支えに挑戦!初心者でも分かる工学的視点と具体的手順
はじめに
近年、「セルフリノベーション」や「DIYリフォーム」という言葉をよく耳にするようになりました。自宅を自分で改修することは、費用を抑えられるだけでなく、思い通りの住空間を作り上げる楽しさや達成感があるため、多くの方に注目されています。とはいえ、特に木造住宅においては、「柱の入れ替え」「構造補強」「土台や梁のレベル調整」など、構造にかかわる作業を自分で行うのはなかなかハードルが高いものです。
本記事では、日本の木造住宅(最大2階建て程度)を想定し、初心者でも理解しやすいように工程を分解し、さらに工学的な定量的視点も交えながら解説していきます。この記事を読めば、柱の入れ替えや抱き柱による支えなど、セルフリノベーションでの構造補強作業を「とりあえずやってみよう!」と一歩踏み出せるようになるはずです。
- 想定読者
- 古い木造住宅をリフォーム・リノベーションしたいDIY愛好家
- 自宅の柱がシロアリ被害や腐食などで痛んでいると感じている方
- 大工や職人に頼むほどではないと思いつつ、自力での作業に不安がある方
- 工学的な安全基準や道具の選び方も知りたい方
それでは、さっそく見ていきましょう!
木造住宅の基礎知識

通し柱と管柱の違い
日本の在来工法の木造住宅では、通し柱と管柱という用語がよく登場します。
- 通し柱(120mm角が主流)
1階の土台から2階の屋根裏(あるいは小屋梁)まで通して立っている柱です。構造上、建物の重要な荷重(垂直荷重や地震・風などの水平力)を支える役割が大きいのが特徴です。 - 管柱(105mm角が主流)
各階ごとに設置される柱で、通し柱に比べやや細めです。しかし、住宅全体で複数の管柱がバランスをとって荷重を分散し、壁量や耐力壁の配置によって構造的安定を図っています。
このサイズの違いは、荷重を支える能力の違いにも直結しています。より太い柱(120mm角)は剛性が大きく、曲げや圧縮の耐力が高くなります。
柱サイズの標準と理由
- 120mm角の通し柱は、昔から伝統的な在来工法で用いられてきました。梁や桁としっかり組み合わさるため、大きな地震や強風にも耐えられる構造を築けます。
- 105mm角の管柱は、比較的新しい規格ですが、これでも十分な強度があるとされています。実際に一軒の木造住宅にかかる荷重を柱の本数で分散して支えるため、105mm角でも問題ない場面は多いです。
木造住宅における柱の役割
柱は住宅の垂直荷重(上からの重み)を支えると同時に、水平力(地震・風など)に対して梁や基礎とともに家全体を安定させるために不可欠な構造材です。柱が傷んだまま放置していると、たとえば柱がシロアリ被害で断面欠損している場合、地震時に倒壊のリスクが高まります。安全・安心に暮らすためには、柱の状態をしっかり確認し、必要に応じて交換や補強を行うことが重要です。
解体と柱交換の基本プロセス
解体前の下準備
セルフリノベーションで柱の交換や補強に着手する前には、周囲の解体が必須です。具体的には以下をチェックしましょう。
- 壁の仕上げ材の撤去
- 石膏ボードやラスボードなど、壁を覆う下地材を取り外し、柱や梁などの構造体を露出させる。
- 天井板や床の一部の撤去
- 柱や梁との接合部を確認できるように。
- 電気配線・ガス管・給排水管の位置確認
- 柱付近を解体する際に、誤って配線・配管を切断してしまわないように要注意。必要に応じて業者に相談。
解体時に配慮すべきなのがアスベストや古い建材の有害物質です。1970年代から1990年代前半に建てられた住宅には、吹き付けアスベストやアスベスト含有建材が使われている可能性があります。自分で作業する場合は、事前に自治体の窓口や専門業者に相談し、慎重に対応しましょう。
工程全体の流れ
- 解体・周辺チェック
- 仮サポート・ジャッキ設置
- 傷んだ柱の撤去(根継ぎ or まるごと交換)
- 新しい柱の設置・固定
- レベル調整と最終締結
- 仕上げ・完了検査
DIYでの柱交換は構造の一時的な弱体化を伴う作業です。ジャッキやサポート材を用いて上部構造(梁や桁)を支えながら柱を交換するため、工程管理と安全対策が非常に重要になります。
必要な工具・資材
- 電動工具類:インパクトドライバー、丸ノコ、セーバーソー(解体用)、マルチツールなど
- ハンマー・バール:解体作業の必需品
- ジャッキ(後述)
- サポート材(柱代わりの支え):パイプサポートや単管パイプ、木材など
- メジャー・水平器・レーザーレベル:精度高く施工するために必須
- 柱材:必要に応じて105mm角、120mm角などの必要サイズを購入
- 接合金物:ホゾの有無や金物工法によって変わる(羽子板ボルト、ホールダウン金物など) ー現在は柱には金物を使うことが義務となっています。種類はこちらのカネシンさんのページが参考になります!
- 保護具:ヘルメット、軍手、防塵マスク、保護メガネなど
- 防腐剤・防蟻剤:木材の腐食や入れ替えの原因となった元を断ち切るために必要!
支え(補強)工法の種類
抱き柱工法とは
抱き柱工法とは、既存の柱に新品の柱材を抱き合わせ(重ね合わせ)て補強する方法です。柱全体を交換する場合は解体範囲も広くなり、上部構造の仮支えも大掛かりになりがちですが、抱き柱であれば部分的に補強しながら強度を高められます。
- メリット:
- 既存柱を完全に撤去しなくてもよい
- 居住しながらでも比較的施工しやすい
- コスト削減になる場合もある
- デメリット:
- 既存柱との締結方法(ビスやボルト、金物)の選択が難しい
- 柱が二重になるため、内装の寸法に制限が出る場合も
ジャッキアップ工法の基礎
木造住宅の柱交換や土台の補修では、上部構造をジャッキでわずかに持ち上げて隙間を作り、柱を入れ替える方法が一般的です。たとえば、被害のある柱を取り除く際に、梁や屋根を下から支える役割をジャッキが担います。
その他の補強方法
- 根継ぎ(柱下部の交換)
柱全体を交換しなくとも、シロアリや腐朽菌の被害が下部に集中している場合は、柱の下半分だけを交換して金物やホゾ、補強材で接合します。 - 土台・床組みの補強
柱だけでなく、土台や床梁が傷んでいる場合はそちらの補強・交換が先決となるケースもあります。上部だけ直しても土台が傷んでいれば構造的な安定は得られません。
ジャッキ選びと安全対策
油圧ジャッキとジャーナルジャッキの違い
DIYで一般的によく使われるのは油圧ジャッキですが、プロの曳家(家を丸ごと移動する専門職)の方からはギア式のジャーナルジャッキが推奨されるケースもあります。その理由は以下の通りです。
- 油圧ジャッキ
- 上下運動はスムーズ
- 重量物を持ち上げるパワーが大きい
- ただし、オイル漏れや圧力損失により、時間経過とともに少しずつ下がる可能性がある。
- 横方向の負荷に弱いケースがある
- ジャーナルジャッキ(ネジ式ジャッキ)
- ネジの回転により上下させる
- 油漏れがないので保持力が安定
- 横方向にある程度の耐性がある
- 油圧よりも操作がやや重い、作業に時間がかかる
結論:一般的なDIYではホームセンターなどで手に入りやすい油圧ジャッキを使うことが多いですが、横倒れ防止策やオイル抜けのリスクに注意しましょう。さらに、ジャーナルジャッキを入手できるなら、より安全で確実な作業が見込めます。
詳しくは、こちらにまとめています。
ジャッキアップ作業での転倒リスク回避
- サポート材(仮柱)をしっかり設置する
- ジャッキと梁の間だけで建物を支えるのは危険が高いので、近傍に必ず仮の支柱を組みます。
- 足場を確保し、レベルを調整する
- ジャッキが傾かないよう、ベース部分の下に十分な厚みと強度を持つ板や鋼板を敷きましょう。
- 一度に大きく持ち上げない
- 柱交換では数mm~1cm程度の持ち上げで済む場合が多いです。少しずつ上下させ、建物全体が急激に動揺しないように心掛けましょう。
足場・仮柱・サポート材の設置
安全第一で作業するためには、ジャッキ本体だけでなく周囲の仮サポートが重要です。たとえば単管パイプを斜めに掛けて建物の倒れを防止するといった措置も有効です。大掛かりに見えますが、作業中に倒壊リスクがあると考えれば、厳重すぎるくらいがちょうど良いと言えます。
工学的な定量データの見方

荷重計算の基本(簡易版)
木造住宅の一般的な床面積・荷重をざっくり計算すると、下記のような数値になります。
- 建物重量(目安):
1階・2階を合わせた延床面積が30坪(約100㎡)の木造住宅の場合、建物全体の重さはおおよそ30~40トンと言われます(屋根材や外装材などで変動)。 - 1本の柱が支える荷重:
通常、1階に複数本の通し柱や管柱がバランスよく配置されていて、それらで荷重を分散して支えています。たとえば、1階に10本の主要な柱があると仮定すれば、単純計算で1本あたり3~4トン前後の荷重を負担する場合もあるでしょう(ただし、壁量や床組みなどにより実際は均一ではありません)。
とはいえ、すべての柱が均等に荷重を受けているわけではないため、この数字はあくまで目安です。地震や風などの水平力が加わるときの応力分布はさらに複雑になります。
柱にかかる荷重(垂直荷重・水平力)の考え方
- 垂直荷重:
建物の自重+人や家具などの積載荷重- 木造住宅の場合、在来工法であれば床で支えられる荷重は1㎡あたり約180~200kg程度(建築基準法上の居室床荷重)を設計の目安とします。(建築基準法施行令や学会指針による「最低限度の規定」より)
- 水平力:
地震、風、台風などにより横方向に加わる力。- 木造住宅は耐力壁(筋交い・合板)などでこの水平力を受け流す構造が必要です。
一部の柱を交換・補強する際は、周辺の耐力壁の位置や量も踏まえたうえで計画しないと、全体の耐震性能が下がってしまう可能性があります。
耐力壁や筋交いとのバランス
柱を交換するだけでなく、壁の内部にある筋交い(X状の斜材)や構造用合板の有無によって建物の強度は左右されます。とくに柱交換のために壁を撤去した場合は、その部分の耐力壁を復旧させるのが望ましいです。DIYリフォームでは、つい柱の強度だけに目を奪われがちですが、壁の耐力補強もセットで検討しましょう。
柱の入れ替え手順(実践編)

では、実際に傷んだ柱を取り替えるまたは補強する際の手順を見ていきます。作業前に周囲が解体できている前提で解説します。
既存柱の取り外し
- ジャッキアップの準備
- 交換する柱の近傍にジャッキをセットし、梁や桁を少し持ち上げて荷重を逃がします。
- 同時に**仮柱(サポート材)**を立て、安全を確保。
- 柱と梁・土台の接合部の確認
- 伝統的なホゾ接合や金物接合など、どのように固定されているかを確認。
- 柱周りの釘や金物を撤去
- 柱を抜くために邪魔になるビス・金具を外します。
- チェーンソー、セーバーソー、丸ノコなどで切断
- 根継ぎの場合は傷んだ部分だけをカットして撤去。
- 柱全体を交換する場合は梁付近と土台付近の位置で切り離す。
注意点:切断時に構造が崩れないよう、常にジャッキと仮柱が機能していることを確認してください。
新しい柱の設置と固定(根継ぎ・通し替え)
- 根継ぎ:
- 下部だけを新しい柱材に交換する場合、金物(根継ぎ金物)や込み栓などで接合。
- つなぎ目がずれないよう慎重に高さを合わせて施工します。
- 通し替え:
- 柱全体を交換する場合は、梁側・土台側ともにホゾを刻むか、金物工法で留めるかを検討。
- 梁との取り合い部にホゾ穴が設けられている場合、それに合わせて柱上端を加工します。DIYの場合はホゾを省略して専用金物を使うのが確実です。
一時的なレベル調整と最終固定
- 仮固定の段階
- 新しい柱を仮に立てたら、**垂直状態(通りとり)**を確認。レーザーレベルや下げ振りを用いると精度が上がります。
- この段階では、ビスやクランプなどで仮留めをします。
- レベルの確認
- 床や梁が大きく傾いている場合は、柱だけでなく土台や梁の歪みを総合的に調整する必要があります。
- 最終固定
- 問題がなければ、ホゾと金物でしっかり締結。梁側と土台側を強固に固定し、必要な耐力壁を復旧するなど仕上げに移ります。
抱き柱で補強する方法
- 既存柱に新柱を重ねる
- 抱き合わせる面を平滑に加工して密着度を高める。
- ボルト・ビスで連結
- 一般的にはM12程度の全ネジボルトを複数本用いて、柱同士を締め上げます。
- ビスだけだと軸力に弱い可能性があるため、ボルトや金物を活用しましょう。
- 下端・上端の固定
- 土台・梁と既存柱、新柱の両方が確実に結ばれるように取り付け金物を選定。
抱き柱工法は大規模な解体を伴わずに強度向上が図れますが、既存柱が著しく腐食している場合は、むしろ交換したほうが安全確保につながるケースも多々あります。
施工のポイントと注意点
レベル調整は柱だけで行わない
実際の住宅では、土台が沈下していたり、梁がたわんでいたりすることがあります。柱の長さを無理やり合わせてしまうと、歪んだ状態の建物をそのまま固定してしまう恐れがあります。
- ポイント:
- まずは土台や大引、梁、桁などのレベルを確認。可能であれば土台をジャッキアップして水平を取り直すなど、構造全体のバランス調整を優先。
- 住宅の大幅な沈下が原因の場合は、基礎補修や地盤改良が必要になる可能性もあります。
土台や梁の歪みとの向き合い方
- 必要に応じて専門家へ相談
- 大工や曳家のプロが行うように、土台全体を持ち上げて修正する作業は、DIYだけでは難易度が高いです。
- 予算や時間との兼ね合い
- 全体のレベルを完璧に直すために大掛かりな工事をすると、DIYの範囲を超えるコストが発生することも。
建築基準法や自治体条例の確認
柱交換や耐力壁の補修は、場合によっては構造変更とみなされることがあります。大きなリフォームに該当する場合は、役所への確認申請や建築士による設計が必要になるケースもあるので注意しましょう。特に2階建て以上の建物、増改築にあたる場合は必ず地元自治体に相談してください。
セルフリノベーションにおける心構えと限界
どこまでDIYでできるのか
- 解体作業や下地処理、表層仕上げなどはDIYの範囲でも比較的取り組みやすい。
- 柱や梁などの構造部材の交換・補修は安全面や建築法規的にもハードルが高いため、しっかり勉強・準備したうえで行う必要があります。
プロへの依頼を検討すべきケース
- 地盤沈下や基礎の亀裂がある場合
- 大規模な梁や桁の交換が必要な場合
- 屋根や上階の水平構面(小屋組など)を同時に補強する必要がある場合
- 耐震診断や補強設計が必須な築古物件で、自治体補助金の適用を検討している場合
事故防止のための心得
- 必ず複数人で作業する:一人では危険を察知しきれない。
- 急がない:工期を焦らず、一つ一つの工程を確実にこなす。
- 必要に応じて専門家のアドバイスを受ける:DIYのノウハウだけでなく、大工や建築士の知見も活用する。
まとめ

本記事の要点
- 柱の基礎知識
- 通し柱は120mm角、管柱は105mm角が主流。太いほど構造上有利だが、全体のバランスが大事。
- 柱交換・補強の基本プロセス
- 解体からジャッキアップ、柱の取り替え、固定、仕上げの流れを踏む。
- ジャッキと仮サポートの重要性
- 油圧ジャッキ、ジャーナルジャッキの特徴を理解し、横倒れ防止策を徹底。
- 工学的視点での荷重計算
- 建物重量と柱が支える荷重の目安を把握し、構造バランスを崩さないように。
- DIYリフォームの限界
- 大きな沈下や複雑な構造補強は専門家に依頼するのが安全。
参考文献・おすすめ動画・関連サイト
- 大工マニュアル【Carpentry Manual】
- 134.リフォームでの柱&土台の取り換え【大工仕事解説】手順や注意点
- ジャッキアップや根継ぎの具体的な現場映像が見られます。
- 抱き柱工法の実例動画
- 抱き柱工法(ひとりでできるマンDIYさん)
- 木造住宅の耐震診断・改修ガイド(国土交通省)
- 耐震補強に関する技術的指針や補助金制度の情報が得られます。
- 各種金物メーカーのカタログ
- 柱接合・根継ぎ・抱き柱用の金物の載っているカタログを入手しておくと作業がスムーズ。
おわりに
セルフリノベーションでの柱交換や支えの作業は、壁紙や床の貼り替えなどと比べると構造部分に踏み込むため難易度は高めです。しかし、本記事を参考に、工程や必要な道具、安全対策、工学的な負荷計算の目安などを把握すれば、初心者でも「まずはやってみよう」という姿勢で取り組むことが可能になります。
もちろん、家の構造は人の生命や資産を守る重要な要素です。大がかりな補修や不安がある場合は、建築士や大工、曳家などのプロのサポートを受けるのが安心です。また、自治体によっては木造住宅のリフォームや耐震補強に対する補助金制度がある場合も多いので、ぜひ情報収集してみてください。
本記事が、あなたのセルフリノベーションライフをより充実させ、安全で快適な住まいづくりの一助になれば幸いです。DIYだからこそ得られる達成感と愛着を楽しみながら、ぜひ挑戦してみてくださいね。
そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!
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