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アスベストスレートの解体【DIYリノベ】
こんにちは!DIY Renovaです。
セルフリノベーションやDIYを楽しむ皆さん、そして「古いスレート屋根や倉庫の波板を解体したいけど、これってアスベスト入ってるのかな…?」と不安に思っている方、いらっしゃいませんか?
実は、1980年代頃まで製造・使用されていた波板スレートやカラーベスト・コロニアルなどのスレート屋根材には、アスベストが含まれているケースが少なくありません。アスベストは適切に取り扱わないと健康被害を引き起こしやすい物質であり、現在は法律で厳しく規制されています。
本記事では「アスベストスレートの解体」について、素人の方でも理解できるように手順や必要な装備、法的な手続きや資格の話などを詳しく解説します。ただし最初に強くお伝えしておきたいのは「アスベストを含む建材の解体は原則として専門業者が行うべき」だということ。DIYで解体できるケースは非常に限られており、自治体や法規制の条件を厳守しなければ大きなトラブルになるリスクがあります。
この記事を通じて、事前調査の重要性や解体手順、廃棄の流れなどを理解し、もしアスベストが含有していれば「これはもう専門家にお願いしよう…」と判断するきっかけになれば幸いです。無理して行ってしまうと、自分はもちろん家族や近隣住民の健康に取り返しのつかない被害を及ぼしかねません。あくまで安全第一、法令遵守を最優先にお読みください。
アスベスト解体における大前提:事前調査の義務

1. 作業後に「アスベストがあった」は許されない
2020年代に入ってから、アスベストに関わる規制はさらに強化され、解体や改修工事をする際には「事前調査」が義務化されています。具体的には「大気汚染防止法」などに基づき、「一定規模以上の建築物を解体・改修する場合」はもちろん、小規模であってもアスベスト含有が疑われる場合には必ず事前に専門的な調査を行わなければなりません。
「解体作業が終わってから実はアスベストでした」というのは、法律上も大問題。粉じんを吸い込んだり、周辺に飛散させてしまうリスクが極めて高いため、必ず専門家や行政を通じた「事前調査」で「アスベストの有無」を確認する必要があります。
下記は簡単に紹介していますが、こちらにより詳細な業者依頼方法や(時間がかかるけど)どのような資格を取れば調査を行えるか・申請方法についてご紹介していますのでそちら必要な方はご覧ください。
2. 事前調査ではどんなことをする?
- 建材のサンプルを切り取り、顕微鏡や光学的手法でアスベストの含有量を分析する。
- 調査結果が「アスベスト含有なし」と判明した場合だけ、通常の解体作業に進める。
- 「アスベスト含有(レベル3含む)」と判定されたら、法律上の手続き・届出が必要になる。
この時点で「レベル3建材だから大丈夫でしょう」と安易に思わずに、建物規模や自治体のルールをよく確認しましょう。場合によっては「石綿作業主任者の配置が必要」「資格を持つ業者しか解体できない」などの制約が生じることがあります。
アスベスト含有スレートの特徴と注意点
1. どんな製品が対象になる?
- 波型スレート板、フラット型スレート板
- カラーベストやコロニアルなど、屋根材に広く使用されていた古い製品
- 製造時期は昭和40~50年代(1960~1980年代)前後が多いとされる
スレート表面がボロボロと剥がれたり、粉状の破片が出るくらい劣化が進んでいる場合は、飛散リスクが高い状態です。保管中のスレート板や、増改築時に取り外した古い波板も同様にアスベスト含有が疑われます。
2. スレート周辺の素材も要注意
アスベストを含むスレートと「接合」している他の素材(屋根下地のルーフィング、コーキング、板金部分など)にもアスベスト繊維が付着している可能性があります。そのため、解体や取り外しの段階で「この部分は含有していないから適当に扱う」では済まされません。隣接している素材も汚染されていれば「アスベスト廃棄物」として処理が必要になるケースがあります。
解体に必要な資格と法律の基礎知識
1. アスベスト関連資格の種類
アスベストを含む建材を取り扱う作業には、以下のような資格や特別教育が必要になる場合があります。これは作業規模や建材のレベル(1~3)、業務形態によって異なりますが、代表的には次のとおりです。
- 「石綿作業主任者」
- 主任者を置かなければならない規模・業務形態(特定の届出が必要な工事)で必須。
- 「石綿取扱作業従事者特別教育」
- レベル3建材(スレートなど)でも粉じん発生が見込まれる作業をする場合、従事者が受ける必要がある。
- 「特別管理産業廃棄物管理責任者」
- アスベスト廃棄物を取り扱う廃棄事業者側で必要となる場合が多い。
DIYで「自宅の屋根を一部修理したい」という場合であっても、アスベストを含んでいると判明した以上は、原則として何らかの資格を持った人が作業しなければならない状況になるのが普通です。つまり、資格を持たない一般の人が勝手に解体するのは法的にNGの可能性が高い点を理解しておきましょう。
2. 関連法規のポイント
- 「大気汚染防止法」:アスベスト飛散防止のための規定
- 「石綿障害予防規則」:労働安全衛生法の下で定められる作業基準
- 「廃棄物処理法」:アスベスト含有廃材の適正処理義務
- 「建築基準法」:大規模な改修や解体の際の確認申請に影響する場合がある
法律ごとに対象となる建物の規模や工事内容が細かく決められています。すべてを個人で理解するのは大変なので、必ず自治体の建築指導課や環境保全担当に問い合わせ、「この程度の解体ならDIY可能かどうか」を直接確認することが重要です。
DIYが許されるケースと限界
1. 小規模・かつ事前にアスベスト除外と確定した場合
事前調査で「アスベスト含有ではない」と正式に証明されたスレートなら、DIYで解体することも可能です。ただし、それでも高所作業や廃材の処分に注意が必要なので、十分に安全対策を取りましょう。
2. アスベストが含まれているが、自治体のガイドラインでDIYを容認する極小規模工事
ごくまれなケースですが、たとえば倉庫の波板1~2枚の交換程度など、自治体によっては「届け出をしたうえで特別教育を受けていればDIY可」としている場合があります。ただしこれは非常に稀で、かつ粉じんがほとんど出ない場合に限定されることが多いため、安易に自己判断せず担当部署で確認を。
3. ほとんどの場合は専門業者委託
繰り返しになりますが、基本的には「スレートにアスベストが含まれている」と判明すれば、規模の大小に関わらず専門業者へ依頼するルートに進むのが現実的です。「DIYでやりたい」という気持ちだけではどうにもならないレベルで法規制が厳しいのです。
必要な装備・道具と準備
ここではあくまでも「アスベストなし」と確定したスレート、もしくは自治体の許可のもと本当に極小規模でDIYが認められるときの参考として、必要な装備や準備をまとめます。アスベスト含有が判明した場合は、参考程度にとどめてください。
- 「防じんマスク(国家検定合格品)」
- DIYでもスレート解体時に繊細な粉じんが舞うことがあるため、常に装着。
- 「保護メガネ・ゴーグル」
- 目への粉じん侵入防止。
- 「手袋・使い捨て防護服」
- 破片が肌に触れたり、衣服に付着した粉じんを家の中に持ち込まないようにする。(レベル3レベルでは、本来必須ではないですがそれでもつるつるとアスベストが落ちやすいものを着たほうがいいです。探すのが難しいなら儲かってしまったほうが楽な場合も)
- 「バール・ドリル・インパクトドライバー」
- 釘やボルトで固定されているスレートを外すときに使用。割らないように丁寧に取り外すのがポイント。
- 「水道ホース・噴霧器」
- 万が一、粉じんが出る場合は随時湿潤化(しつじゅんか)する。
- 「養生用ビニールシート・テープ」
- 作業エリアを囲い、廃材が飛び散らないようにする。
- 「安全帯・足場・ヘルメット」
- スレート屋根は踏むと割れることが多く、転落リスクもある。高所作業には必須。
解体手順の流れ:具体的ステップ

以下は「アスベストなし」と確定したスレート解体の例を示します。実際にはアスベスト含有ならこの手順以前に「資格者の作業」「より厳重な飛散防止策」が必要ですので注意を。
STEP 1. 作業エリアの事前準備と周囲の安全確保
- 作業する屋根や壁の周囲をロープやバリケードで囲い、関係者以外が近づかないようにする。
- 隣接する建物や車などに廃材が落ちないよう、養生シートを張り巡らせる。
- 天候チェック:雨天や強風の日は粉じんが舞いづらいとも言えますが、高所作業の危険が増すため避けるのが無難。
STEP 2. 既存スレートの固定具を確認
- 釘やボルト、ビスのどれで止められているかをチェック。
- 劣化の進んだ釘やボルトは錆びていて外しにくいこともあるため、必要に応じて潤滑剤を使ったり、切断工具で頭を落とす方法を検討する。
STEP 3. 一枚ずつ慎重に取り外す
- スレート表面を割らないように注意しながら、固定具を外していく。
- 無理にこじるとヒビが入って粉じんが出やすくなるため、なるべくバールを使う際もゆっくり少しずつ力をかける。
- 割れが生じそうなところは、インパクトドライバーなどでビスを1本ずつ外してから板をそっと引き抜くと粉じんが少なくなる。
STEP 4. 粉じんを抑制するための湿潤化
- スレートを外す際や、ひび割れの可能性がある箇所には噴霧器で軽く水をかける。
- ただし、水のかけすぎで屋根下地が濡れると腐朽リスクが出るので、周囲をしっかり養生しつつ必要最小限の水分で抑える。
- こまめに周囲を拭き取り、破片が飛んでいないかチェック。
STEP 5. 外したスレートの扱い
- 取り外したスレートは重ねて保管し、割れないよう注意して二重のビニールシートなどで包むか、大きな袋に入れる。
- もし粉じんや細かい破片が出た場合は、集めて密封容器に入れておく。
- ここで「やっぱり怪しい粉がある…」と疑念がわいたら、すぐに作業を中断して専門家を呼ぶ勇気が必要。
STEP 6. 足場解体・清掃
- 必要な部分のスレートがすべて外せたら、足場を撤去する前に周辺をしっかり掃除。
- 粉じんや破片を極力残さないよう、水拭きを中心に行う(ホコリを立てる掃き掃除は避ける)。
- 作業着やゴーグルなども可能であれば屋外で洗浄してから家の中へ持ち込む。
詳細な一般的なスレート解体についての手順はこちらに記載していますので必要に応じてご覧ください!
隣接素材も含めた廃棄フェーズ:どう運び、どこに捨てる?
1. アスベストなしの場合
- スレート自体は一般的な「産業廃棄物」として扱うか、自治体指定の方法で処分する。
- 地域によっては「一般廃棄物」として受け付ける場合もあるが、量や種類によって扱いが異なるため必ず自治体に確認すること。
- 隣接素材(ルーフィング、コーキングなど)も、通常の廃材として処理可能かどうか役所に相談。
2. アスベスト含有と判明した場合
- 必ず「アスベスト廃棄物を扱う許可がある産廃業者」に依頼する。
- ごく少量であっても、勝手に家庭ゴミで出すことは法律違反。
- 一緒に接していた下地材やコーキングもアスベスト汚染があると見なされる可能性が高いので、一括処分する必要がある。
- 処分業者から「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」を発行してもらい、最終処分まで確認を。
Q&A:こんなときどうする?

Q1. 「事前調査しなくても小さな範囲ならいい?」
原則としてダメです。法律で事前調査が義務化された今、たとえ倉庫の小さな屋根でもスレートがアスベスト含有かも知れない以上、「素人判断で開始」→「あとで含有発覚」は重大な問題となります。必ず調査を受けるか、専門家と相談してください。
Q2. 「アスベスト解体に必要な資格を自分で取ればDIYできる?」
実際に「石綿取扱作業従事者特別教育」等を受けて資格取得する人もいますが、あくまで作業自体が法令で許される範囲かどうかは別問題。仮に資格を取っても、自治体への届け出や飛散防止設備、廃棄ルートの確保など膨大なハードルが残ります。個人宅のDIYでそこまで整えるのは困難です。不可能ではないですが、下調べを常に行い、プロの知識を借りながら進めていきましょう!
Q3. 「解体したら下地もボロボロだった。これもアスベスト廃棄?」
スレートに隣接する下地やルーフィング、コーキング材、さらには周辺の断熱材にアスベスト粉じんが付着・混入している可能性があります。専門業者の判断で「アスベスト廃棄物」としてまとめて処理する必要が生じることがあります。
Q4. 「波板が割れそうだからカットして短くしたいんだけど、水をかければOK?」
アスベスト含有の可能性があるスレートの切断・加工は極めて危険です。水をかけても完全に粉じんを防ぎきれるわけではありません。DIYでは絶対に避けるべき行為と言えます。
Q5. 「古い建物を一気に解体したい。屋根だけアスベストかも…」
建物全体を解体する場合は、アスベスト屋根以外にも壁や断熱材などに含まれている可能性があります。法律で定める届出基準に該当する場合は必ず手続きが必要ですし、専門業者が総合的に撤去作業を行うことがほとんどです。無許可のDIY解体は違法行為になるケースが大半です。
まとめ
アスベストスレートの解体は、DIYリフォームの中でも特にハードルが高く、リスクが大きい分野です。この記事でご紹介したとおり、
- 必ず事前調査:作業後に「実はアスベストでした」では済まされません。法律上も健康面でも危険なので、必ずプロや行政を通じて含有の有無を事前にチェック。
- 資格や規模の問題:アスベスト含有が判明すれば、ほとんどの場合「専門業者に依頼」が原則になります。DIYが認められる場面はごく小規模で、自治体のガイドラインに適合する場合のみ。
- 隣接素材も含めた廃棄:スレート本体だけでなく、付近の下地やコーキング、周辺部材もアスベスト汚染として処理が必要になる可能性が高い。
- 安全第一・法令順守:仮にアスベストが含まれていなくても、高所作業であり粉じんも出るため、防護マスクやヘルメットなどの装備、廃材処分ルールの遵守が不可欠。
「どうしてもDIYでやりたい!」という気持ちは理解できますが、アスベスト問題は想像以上に深刻で複雑です。少しでも疑いがある場合は専門家に相談し、適切な方法で解体・処分を進めるのが賢明でしょう。安全への投資こそが、後々のトラブルや健康被害から身を守る一番の近道になります。
そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!
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