
みなさんこんにちは、DIY Renovaです。
(中古住宅・オール電化化・セルフリノベ向け)
中古住宅を買ったら「ガス契約は既に解約済みっぽいのに、壁にガスメーター跡や配管だけ残ってる」「給湯器・ガスコンロは外れてるのに、配管や元栓が怖い」「しかもここ、LPガスの配管が“集中”してる地区らしい…」みたいな状況、わりと起きます。
結論から言うと、こういうケースは「見た目が止まってる」だけで安全が保証されません。特にLPガスは空気より重く、漏れると低い所に滞留しやすい性質があるので、セルフ解体との相性が悪いです(参考:千葉県LPガス協会の消費者向け解説 )。
この記事では、個人情報を省いた一般論として「配管・設備だけ残ったLPガス設備を、合法かつコスパ良く撤去する」ための手順を、疑問が残らないレベルまで噛み砕いてまとめてみてます。
※DIYのコツは書きますが「ガス工事そのものをDIYする方法」は書きません。そこは日本のルール上、やってはいけない領域だからです(後述)。
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まず押さえるべき前提
「LPガス設備」は全部が自分の所有物とは限らない
LPガス周りには大きく分けて「供給側の設備」と「家の中で使う側の設備」があります。日本では、LPガス事業者が所有・管理している設備が残っているケースがあり、勝手に撤去・処分するとトラブルになります(参考:LPガス販売指針・無断撤去ルールの解説 Lawzilla|迷わない法令データベース.)。
さらに「集中(小規模導管)」タイプだと、あなたの敷地に“近所へ行く配管”が通っている可能性がゼロではありません。ここを誤って触ると、近隣トラブル+安全リスクの両方を踏みます(参考:ガス配管トラブルが他人地中配管で起きやすい点 パブリックコメント)。
絶対にやってはいけないこと(重要)
次の3つは、セルフリノベでも「触らない」が正解です。
- 「配管を切る・外す・キャップを開ける」
- 「元栓・メーター周りを分解する」
- 「地面を掘って埋設管を探す」
理由はシンプルで、LPガス機器の接続工事(取り付け・取り外し)には国家資格「液化石油ガス設備士」が必要な範囲があるからです(参考:注意喚起チラシ 経済産業省/自治体の注意喚起 新潟県公式サイト)。
「もうガス来てない家だから大丈夫でしょ?」が一番危ないパターンです。契約が止まっていても、配管のどこかにガスが残っていたり、別系統(近隣)につながっていたり、所有権が他社だったりします。
ここからが本題:撤去までの最短ルート(全体像)
流れはこうです。
- 現状を「記録」する(写真・位置・状況)
- 「供給事業者」を特定する(分からなければ協会に当てる)
- 「現地確認(調査)」を依頼する
- 「切離し・撤去の範囲」を確定する(どこまで撤去/どこは残置)
- 工事実施(撤去証明・写真をもらう)
- その後に機器の処分/売却判断
以下、順番にいきます。
手順1 現状を記録する(これが一番コスパがいい)
業者に電話する前に、最低限これだけやると見積と工事が早くなります。DIYで安全にできるのは「記録」です。
- 屋外:配管が壁から出ている位置、メーター跡、調整器っぽい機器、配管の行き先
- 屋内:キッチン周辺のガス栓跡、床下に落ちていく配管の有無(見える範囲だけ)
- 近隣:自宅敷地をまたいで何か配管・マンホール・ボックスがありそうか(推測でOK、触らない)
ポイントは「撤去したいものを列挙」ではなく、「今あるものの位置関係が分かる資料」を作ること。写真に日付が残る設定だと後で強いです。
ここは地味ですが、後々のトラブル回避力が段違いです。
手順2 供給事業者が分からない時の探し方(ここが核心)
「解約済みで、どこのガス会社か分からない」場合は、次の順で当たるのが現実的です。
2-1 まずは地域のLPガス協会に「紹介・相談」する
都道府県ごとにLPガス協会があり、問い合わせ窓口があります。たとえば千葉県なら協会の問い合わせ先が公開されています(参考:公益社団法人 千葉県LPガス協会 お問い合わせ 千葉ロッテマリーンズ)。
協会に聞くときは「事業者名の断定」ではなく、こう言うのが安全です。
- 「中古住宅を取得したが、LPガス設備(配管・メーター跡)が残置している」
- 「集中配管地区の可能性があり、近隣配管が敷地を通っている懸念がある」
- 「現供給事業者の特定と、撤去の相談窓口を知りたい」
協会は「第三者の入口」になりやすいので、直接の事業者が不安な時ほど使い勝手がいいです。
2-2 次に「敷地内に設置されている設備の銘板・ラベル」を探す
メーター・調整器・警告ラベルに会社名が残っていることがあります。ただし、無理に触らず「撮影して拡大」で十分。
2-3 それでも不明なら「近隣(自治会・隣家)に“情報だけ”聞く」
「うちの敷地を配管が通ってるかも」と感じた時は、工事前に情報だけ集めるのは有効です。ここでも触らない。
手順3 現地調査は必要?足場があると不利?

結論:現地調査は「必要」になりやすい
特に「集中配管かもしれない」「敷地をまたいでいるかもしれない」場合、机上だけで安全確認は難しいです。配管図が残っていれば早いですが、図面だけでは他人地を通っているか判断しづらいこともあります(参考:配管図だけでは分からない注意点 パブリックコメント)。
足場がある場合
足場そのものは「邪魔になる」ことも「作業がしやすくなる」こともあります。重要なのは業者がアクセスできるかどうかです。
- メーター跡・配管が足場内側で触れない
- そもそも足場の上に業者を上げられない契約(施主として断っている)
この場合は、撤去工事が進まないことがあります。
おすすめは、撤去依頼の電話時点で「足場があり、足場上の作業は不可(または要相談)」を先に伝えること。そうすると、地上から可能な範囲と、足場が必要な範囲を最初に切り分けてくれます。
手順4 「誰が撤去すべきか」をルールで理解しておく
ここ、知らないと損しやすいです。
4-1 供給設備の撤去は、原則「現販売事業者」が行う
LPガスの取引適正化の文脈で、供給設備の撤去は原則として現販売事業者が遅滞なく行う趣旨が整理されています(参考:LPガス協会のQ&A・原則1週間の考え方 KHK/国のパブコメ資料の整理 パブリックコメント)。
また「他社が勝手に供給設備を撤去すること」は無断撤去として問題になり得る、という説明も複数の団体資料で明示されています(参考:無断撤去禁止ルールの説明 Lawzilla|迷わない法令データベース.)。
つまり、「悪徳っぽいから別の会社に頼んで全部取ってもらう」は、法務的に安全とは限りません。
安全に行くなら「まず供給設備の所有者・現販売事業者を特定→その撤去ルートを確保」が基本です。
4-2 例外的に時間がかかるケースもある
小規模導管供給(いわゆる集中配管)などは物理的に撤去が難しい例として挙げられています(参考:撤去が困難な例示 KHK)。
「近所の配管がうちを通ってるかも」という懸念は、まさにここに引っかかる可能性があります。
手順5 「暮らしのマーケット等」に依頼していい?
結論は「作業内容しだい」です。
5-1 やってもらう相手の最低条件
- 「液化石油ガス設備士」など、必要資格を持つ人が、必要な作業を担当する体制がある
- 供給設備の所有権・撤去権限がクリアになっている(勝手に撤去しない)
ガス接続工事(取り付け・取り外し)に資格が必要、という注意喚起は公的・準公的に繰り返し出ています(参考:資格が必要という注意喚起 経済産業省.)。
5-2 おすすめの考え方(コスパ重視)
- 「供給設備に関わる切離し・撤去」=まず協会ルート or 現販売事業者ルート
- 「切離し後の、完全に死んだ屋内配管の撤去」=資格者がいる設備業者・解体業者にまとめて依頼
この二段構えが、合法性とコストのバランスが取りやすいです。
手順6 ガスコンロ・給湯器は売っていい?(すでにLPガスにつながっていない場合)
ここは「物」と「工事」が分かれます。
- 「機器そのもの(コンロ本体・給湯器本体)」は、所有権があなたにあるなら売却・譲渡は一般に可能です
- ただし「撤去が適切に行われた証拠」がないと、買い手が不安になります
なので実務的には、次を揃えてからの方がトラブルが少ないです。
- 「現地で切離し済み」の確認(口頭でもいいが、できれば書面 or メール)
- 撤去工事の写真(元の設置状況、撤去後の配管端部が安全処理されている状況)
売却先の安心材料になり、値段も落ちにくいです。
※ここで言う安全処理は「業者が」やる話です。あなたが配管を触って整える話ではありません。
見積もり依頼のテンプレ(そのままコピペOK)
業者・協会・販売店に連絡するとき、これを入れると話が早いです。
- 「中古住宅を取得。LPガス契約は既に停止しているが、配管・メーター跡・設備が残置」
- 「集中配管(小規模導管)の可能性があり、近隣への配管が敷地を通っている懸念」
- 「希望:ガスコンロ撤去、給湯器撤去、配管撤去(撤去範囲は現地確認で相談)」
- 「足場がある/足場上作業は不可(または要相談)」
- 「工期希望:解体・外壁工事の前に、いつまでに切離し確認が欲しい」
依頼タイミング(セルフリノベ工程に合わせる)
オール電化予定でも、LPガス撤去は「早め」が基本です。理由は、解体が進むほど“配管が見えなくなったり、逆に危険に触れてしまう”から。
おすすめの順番はこれです。
- 解体で壁・床を本格的に壊す前
- 外壁の下地や防水(透湿防水シート等)を閉じる前
- 埋め戻しや土間打ちの前(埋設管が絡む可能性があるため)
足場があるなら、外壁側の作業が必要かどうかだけでも先に確定させると、工程が崩れません。
トラブルが起きた時の「逃げ道」も用意しておく
もし「どこも事業者が名乗り出ない」「撤去に応じない」などになったら、個人で揉めるより「公的な相談ルート」に寄せた方が速いです。
資料上も、経済産業省(資源エネルギー庁・経産局)や都道府県への相談という選択肢が示されています(参考:消費者庁資料内の整理 内閣府)。
まずは都道府県LPガス協会→必要に応じて行政、が現実的です(参考:千葉県LPガス協会窓口 千葉ロッテマリーンズ)。
あると便利な物
「工事をDIYする道具」ではなく、「安全に記録・確認するための道具」です。買い物のいやらしさが出にくいのもここ。
- 「ヘッドライト(両手が空く)」
- 「点検用ミラー(死角の写真撮影がしやすい)」
- 「耐切創手袋(屋外配管周りでケガ防止)」
- 「可燃性ガス検知器(ガス臭がした時の“気のせい判定”用。判定後は必ず専門へ)」
- 「養生テープ+油性ペン(写真と一緒に“どれがどれ”を残す)」
よくある質問
「契約が止まってるなら、配管を切ってもいい?」
ダメです。ガス工事の資格問題に加えて、集中配管や所有権の問題が絡む可能性があるからです(参考:資格が必要 経済産業省./無断撤去ルール Lawzilla|迷わない法令データベース.)。
「怖い会社に連絡したくない。別の業者だけで完結できる?」
「供給設備の所有者が誰か」を飛ばすと危険です。まず協会窓口で相談し、第三者ルートで整理してから動くのが安全です(参考:協会窓口 千葉ロッテマリーンズ)。
「現地調査って立会い必須?」
ケース次第ですが、集中配管や敷地跨ぎの可能性があるなら、立会い(または最低限の現地確認)が入る前提で考えた方がいいです(参考:配管図だけでは判断しにくい パブリックコメント)。
まとめ(迷ったらここだけ守る)

何か参考になれば幸いです。
- 「触らない・切らない・掘らない」
- まず「記録」して、次に「協会→事業者特定→現地確認」
- 供給設備は「所有者(現販売事業者)撤去」が原則の考え方
- 工事は「資格者の範囲」を越えない(取り外しでも資格が要る領域がある)
- 撤去後に「証拠(写真・連絡記録)」を残すと、売却・処分もスムーズ
ここまで押さえれば、「止まってるはずのガス設備をうっかり触って事故る」「近隣配管を壊して揉める」「所有権で揉める」という地雷をかなりの確率で回避できます。
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参考資料・動画(リスペクト)
- 経済産業省:LPガス関係法令・資料一覧(法令・解釈資料への入口)
- 経済産業省:ガス安全動画(消費者向けの注意喚起)
- 公益社団法人 千葉県LPガス協会:問い合わせ窓口 千葉ロッテマリーンズ
- 千葉県LPガス協会:LPガスの特性(空気より重い等)
- 日本ガス機器検査協会の注意喚起:ガス接続には資格が必要(取り付け・取り外し) 経済産業省
- 新潟県:LPガス機器工事で資格が必要となる場合がある注意喚起 新潟県公式サイト
- 日本LPガス協会:販売指針/Q&A(無断撤去ルール、原則1週間等の整理) Lawzilla|迷わない法令データベース.
- 国の資料(e-Govパブコメ関連):無断撤去ルールの趣旨・相当期間の考え方 パブリックコメント
- 消費者庁資料:撤去に関する相談先の考え方(経産省・都道府県等) 内閣府


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