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DIYリノベでやる雨戸のとり方【アルミサッシ・モルタル壁事例】

みなさんこんにちは、DIY Renovaです。

昭和〜平成初期の日本の木造住宅には、よく「雨戸(あまど)」がついています。防犯・防風・遮光としての役割はあるものの、近年はアルミサッシの強化やペアガラスの普及、デザイン志向から「雨戸を撤去したい」「雨戸を塞ぎたい」と考える人も多いでしょう。

本記事では、「DIYで雨戸を安全に取り外す方法」を、構造的・工学的な観点も交えて、初心者でもわかるように解説します。
対象は「木造軸組工法(在来工法)」で建てられた2階建て以下の住宅です。必要な工具、注意点、撤去後の防水処理、構造補強の考え方まで完全網羅。これ1本で作業に入れるように心がけて作っています。


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それでは、どうぞ。


雨戸ってそもそもどういう構造?

雨戸とは、窓の外側に設置される引き戸状の板で、レールを使って左右にスライドします。一般的な構成は以下の通り。

  • 「雨戸本体(板)」
  • 「レール(上下に固定)」
  • 「戸袋(雨戸が収納される箱部分。多くは壁の中に埋まっている)」

戸袋が見えている場合は外付けタイプ、見えない場合は壁に埋め込まれている「埋め込み型」です。
埋め込み型の場合、壁を部分的に壊さないと取り外しできない構造になっているため、慎重な作業が求められます。


雨戸を取る理由

  • デザインをすっきりさせたい
  • サッシ交換や窓の断熱化にあたって邪魔
  • 壁をふさいで耐震性・断熱性を上げたい
  • サンルームやウッドデッキと干渉する

特に、古いアルミ雨戸は重くて扱いづらく、DIYでの改修時に「戸袋ごと取って壁にしたい」と思うケースが多いです。


雨戸撤去の工法は2種類ある

雨戸を取り外す方法は大きく分けて以下の2つ。

A:外から雨戸だけ外す(戸袋は残す)

【メリット】
・壁を壊さずに済む
・費用・作業が最小限で済む

【デメリット】
・見た目が変わらない
・戸袋の中が虫やゴミのたまり場になる

※レールだけ撤去する、簡易板で塞ぐ、など処理が中途半端になるケースが多く、完全なリノベには向きません。


B:戸袋ごと解体して壁を作り直す(おすすめ)

【メリット】
・見た目も機能もすっきり
・断熱・気密・防犯性がアップ
・壁としての構造強度が確保できる

【デメリット】
・ある程度の「壁壊し作業」が必要
・防水処理や下地補修が発生する

本記事では、より確実で再利用性の高い「B:戸袋ごと撤去して壁として作り替える」方法を中心に解説していきます。


雨戸の撤去前に確認するべき構造的ポイント

1. 筋交いの有無と位置(重要)

筋交い(すじかい)とは、地震や風で建物が歪むのを防ぐための「斜め材」です。
壁の中に「×」や「/」のように入っており、これを切断・加工すると耐震性能に大きく影響します。

【確認方法】

  • 室内側の壁を一部剥がして中を見る
  • 石膏ボードやベニヤをドライバーで外し、構造を可視化

筋交いがある場所は「そのまま残す」か「構造計算のうえ補強して移動」が必要。
DIYの場合は「筋交いは絶対切らない」が基本です。


2. モルタル外壁の構成と壊し方

多くの木造住宅は「ラスモルタル壁」で仕上げられています。構成は下記。

  • モルタル層(厚さ10~20mm)
  • ラス網(金属メッシュ)
  • 下地木材(胴縁など)
  • 構造体(柱・筋交い)

「モルタルを壊す=構造を壊す」ではありません。
モルタルは「仕上げ材」であり、耐震性には直接必ずしも関係しません

しかしながらラス網+モルタル外壁は,構造用合板等と組み合わせれば壁倍率 5.0 の耐力壁として国交省大臣認定を受けられる例があるため,耐力要素になり得ることもあるのでご留意ください!(参考:富士川建材工業株式会社

ただし、壊すと以下の作業が必要になります:

  • ラス網の切断と撤去
  • 残った下地材の補修
  • 防水紙(透湿防水シート)の張り替え
  • 外壁の仕上げ材(サイディングや左官)の再施工

壊す際は「サンダーでカットラインを入れてから、ハンマーとタガネで慎重に割る」のが安全です。


3. 雨戸の収納スペースの確認

外から見ると一見わかりませんが、戸袋の奥行きは約150~200mm。
筋交いが干渉するかどうか、中をのぞく・穴を開けて内視鏡で確認するなどして、撤去可能なスペースかを事前に見極めましょう。

日本透湿防水シート協会の共通施工仕様書では〈横方向150 mm以上,縦方向90 mm以上〉が推奨です。(参考:日本透湿防水シート協会


必要な道具と材料(Amazonなどで購入可)

【最低限必要な工具】

  • インパクトドライバー(MakitaやHiKOKI製がおすすめ)
  • バール(小~中型)
  • タガネ+ハンマー
  • サンダー or ディスクグラインダー(切れ目を入れる)
  • 保護ゴーグル・防塵マスク・手袋

【あった方が便利】

  • 石膏ボードカッター
  • コンベックス(メジャー)
  • はしご or 足場台

【材料(壊した後の補修に)】

  • 透湿防水シート(例:タイベック)
  • 外壁用防水テープ
  • 木下地材(野縁、胴縁、コンパネなど)
  • モルタル or 外壁パネル(サイディング)

ステップバイステップで学ぶ雨戸の取り方

ステップ1:室内側から構造確認

  1. 雨戸のある壁の内装(石膏ボード・ベニヤなど)を剥がす。
    • まずは雨戸の戸袋の背面にあたる部分を開けて、構造を確認。
    • 壁の下地は柱(105mm角が標準)や間柱(30~45mm)で構成されています。
  2. 筋交いの位置を確認する。
    • 斜め材が戸袋を横切っていないか確認。
    • 干渉する場合は、撤去せず「雨戸だけ抜く」方向で切り替えも検討。

※筋交いがあるかないかで、以後の工法が分かれます。


ステップ2:雨戸の本体を外す

  1. 雨戸を引き出し、上に持ち上げて外す。
    • 戸袋内に引き込まれているタイプは、内壁を外して手で押し出す必要あり。
    • 上下レールに引っかかる場合は、上レール側に少し持ち上げながら外す
  2. レールのビスを外して、枠を撤去。
    • ビス留めの場合はインパクトで簡単。
    • コーキング処理されている場合はカッターで切り込みを入れて外す。

ステップ3:戸袋を撤去

  1. 外側のモルタルをサンダーで切り込み、タガネとハンマーで丁寧に壊す。
    • 作業範囲:幅30~40cm、高さ1.8m前後
    • ホコリ対策:養生テープ+ブルーシートで窓回りをカバー
  2. ラス網をペンチで切断・撤去。
  3. 胴縁(木下地)を必要に応じてバールなどで取り除く。とる必要がない場合もありますので、状況を見て判断が必要です。
  4. 戸袋の背面板(化粧ベニヤや合板)を取り外し、雨戸の収納スペース全体を露出

ステップ4:防水・下地補修

  1. 露出した柱まわりに防水紙(透湿防水シート)を貼る。
    • 例:デュポン製「タイベック」など(高性能・耐久性あり)
    • 被せしろは上下左右100mm以上確保(JIS A 6111に準拠)
  2. 外壁側に構造用合板(例:針葉樹合板 9mm以上)を張る。
  3. 胴縁(通気層用)を縦張りで設置(18mm前後の木材)
  4. 必要なら断熱材(グラスウール or スタイロフォーム)を内側に充填。

ステップ5:仕上げ(外壁・内壁)

  1. サイディング、モルタル、板張りなどで外壁を仕上げ。
    • 既存と同じ外壁材が手に入らない場合は「アクセント張り」もあり。
    • DIYの場合、サイディング(ニチハ・KMEW)が貼りやすくおすすめ。
  2. 室内側は石膏ボード+クロス or 木材仕上げ。

雨戸を取ると断熱と耐震はどう変わる?

  • 雨戸の戸袋部分は、断熱材が入っていないことが多く「熱の逃げ道」になっていた。
  • そのため、撤去後に壁として作り直すことで、熱貫流率(U値)が大きく改善する。
    • 例:U値 3.5W/㎡K → 1.5W/㎡K へ
  • 筋交いが露出することで、構造的にも補強がしやすくなる(合板貼りで面材耐力壁化も可能)。

よくあるトラブルと対応策

トラブル対策方法
モルタルが大きく割れてしまったサンダーで細かく切れ目を入れてから作業
筋交いが雨戸収納と干渉していた雨戸だけ撤去し、戸袋を残す方法へ変更
壁に穴を開けたらアリが出てきたホウ酸処理(防蟻剤)を注入後、密閉施工
サイディングが手に入らない既存の壁と同系色の「アクセント張り」に変更する
防水紙の貼り方がわからない縦方向から貼り、上下に10cm以上重ねる(上から下へ雨が流れるように)

海外のリノベ事例に学ぶ

欧米では雨戸の使用頻度が低く、シャッター式 or 外開きタイプが多いため、戸袋は基本的に存在しません。
代わりに「外付けルーバー」「ブラインド型雨戸」などが使われており、デザイン性重視の建材リノベーションが多いです。

海外で学ぶべきポイント:

  • 断熱材を板状に切って簡単に埋め込む「インサレーションボード施工」
  • 壁内に気流を作らない通気層工法(Rainscreenシステム)
  • DIY文化が強いため、「モジュールパネル交換方式」など再利用しやすい設計

これらは日本の気候風土と多少異なりますが、断熱・防水・DIYの合理性という点で大いに参考になります。


撤去後におすすめしたいリノベ

  • 窓を「ペアガラス or トリプルガラス」へ変更(省エネ等級UP)
  • 戸袋跡に「飾り窓」「FIX窓」などを設置して採光アップ
  • 軒天の通気確保とバードブロックの施工
  • インナーサッシ設置(内窓)で防音・断熱効果を強化

【チェックリスト】


  • 筋交いの位置は確認したか?
  • 工具は揃っているか?(刃・バッテリーも含め)
  • 防水処理の材料は準備したか?
  • 作業時間帯や天候(雨・風)は大丈夫か?
  • 解体した部材の処分先は確保したか?(産廃ルール確認)

最後に:この作業を安全に行うために

雨戸の撤去は、「小規模な構造変更」と「防水工事」を伴うため、慎重な計画と観察が重要です。
以下のチェックリストを使って、作業前に再確認しましょう。

そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!

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