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住宅リノベはどこまで自分でやると節約できるのか(日本の木造2想定・完全実践版)【DIYリフォーム】

こんにちは。この記事では、日本の「在来工法」の木造住宅(最大2階)を前提に、セルフリノベで「どこまで自分でやると、どれだけ節約できるのか」を、工学的・定量的な視点と、素材レベルの手順まで落として解説します。
結論からいえば、「解体・下地調整・断熱気密・内装仕上げ・塗装・簡易設備交換」までをDIYで担うと、総コストの20〜45%程度を削減できる可能性があります。さらに屋根・外壁・サッシなどの外皮を自分で扱えるスキルと安全体制があれば、最大で50%超の削減も現実的です。
ただし「電気工事(増設・配線)」「給排水の大幅な移設」「構造の抜本改変」などは法令・安全上の制約が強く、計画・申請・監理をプロに任せる判断が肝心でしょう。
そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!
本記事はお勧めするものではありませんので、あくまでも参考までにご覧ください。
それでは、どうぞ。
本記事の読み方と前提
- 対象読者:初めてのDIY〜中級者。この記事だけで「段取りと材料・道具・作業の順番」がわかるように書いています。
- 家の想定:1980〜2010年代の在来木造2階建て、延床80〜120㎡(約24〜36坪)程度。
- 目的:費用を抑えつつ「性能(断熱・気密・耐震・防耐火)と安全」を上げる。
- 法規:建築基準法・省エネ基準・電気工事士法・給水装置工事主任技術者制度・下水道法など、日本の文脈に沿って注意点を記載します(本記事は「日本では」のスタンスです)。
- 用語の超簡単メモ
- 熱抵抗R(m²K/W):厚み/熱伝導率。大きいほど断熱が効く。
- U値(W/m²K):熱の抜けやすさ。小さいほど断熱が効く。
- C値(cm²/m²):家全体の隙間の量。小さいほど気密が高い。
- n値計算:耐力壁量・接合部金物の検討に使う簡易的計算。
DIYとプロ、どこを任せると“速くて安い”か【結論早見表】
以下は「100㎡前後の在来木造2階」を想定した意思決定マップです。費用だけでなく、法規・安全・やり直しリスク込みで“総合コスト(時間+事故リスク+やり直し)”が小さい方を「おすすめ」にしています。
分野/作業 | 結論 | 根拠の要点 |
---|---|---|
内装解体(石膏ボード・造作) | 多くはDIYが得 | 人件費比率が高い作業。人工単価・平米単価がコストの主因で、分別と養生を守ればDIYで大きく圧縮可(相場:人工2〜3万円/日、内装解体坪単価1.5〜5万円)。悠ホーム株式会社 |
産廃処分 | 条件次第(半DIY) | 分別徹底で費用圧縮。地域許可収集運搬・マニフェスト対応は業者。DIYは分別・搬出・積込までが現実解。相場は工事見積に内包されやすい。ハピすむ |
石膏ボード張り・パテ・塗装 | DIYが得(時間に余裕があれば) | 正しいビスピッチ・目地処理を守れば再施工リスク低め。施工標準は公的マニュアルが無償公開(ピッチ・重ね・処理が明記)。gypsumboard-a.or.jp |
室内建具調整・巾木・廻り縁 | DIYが得 | 失敗時のやり直しコストが小さく、学習効果が高い。 |
フローリング(直貼り/捨て貼り) | DIYでも可(時間はかかる) | 施工精度の要求は中程度。失敗の再施工コストは中。下地精度次第。 |
窓の断熱改修(内窓) | DIYが得になりやすい | 窓は熱損失の最大要因。内窓は“費用対効果が高く・施工性良い”ため、DIY導入の筆頭。政策資料・業界資料でも開口部の重要性が繰り返し強調。日本サッシ協会 ですが、各自治体によっては省エネリフォームの補助金などが大きく出されている可能性があります。ぜひまずは補助金についてチェックしてください! |
窓のカバー工法(外部側でサッシ入替) | プロが速くて安いことが多い | 止水・雨仕舞のやり直しは高コスト。外部足場・役物納まり・防水処理が肝で、プロの段取り勝ち。 |
屋根工事(葺替え/カバー) | ほぼプロ推奨=プロが“結果として安い” | 建設業死亡災害の最大要因は墜落・転落。安全設備と段取りの標準化でプロの方が事故リスクと工程短縮が圧倒的に優位。厚生労働省 |
外壁重ね張り(通気胴縁+サイディング) | 2階足場が絡むならプロ | 足場・荷揚げ・通気・役物・シール2面接着など多工程で手戻りが高額。プロの生産性(チーム作業)に軍配。 |
電気工事(新設・増設・分岐・200V化) | 法的にプロ(有資格者) | 第二種電気工事士以上の資格対象。DIYは器具の“同等交換”など限定的。違法・火災・保険無効のリスクが大。OFFICE110 資格を持っていて、かつブレーカーなど電機の大本部分以外の部分であればいいかもしれませんね! |
給水・給湯の配管改造 | ほぼ法的にプロ | 多くの自治体が“指定工事店”制度。違法施工は過料・給水停止リスク。水道屋ネット |
排水(室内の軽微なやり替え) | 条件付きでDIY可だが慎重に | 勾配不良・漏水の被害が高額化。基本はプロ推奨。 |
浴室の防水(在来浴室更新) | プロ推奨=結果的に安い | 漏水の損害が極大。工程標準・防水層責任分界が明瞭なユニットバス外注が結局安い。 |
アスベスト疑い部位の解体 | 法的にプロ | 事前調査の義務化・届出・作業主任者・隔離養生などが必須。DIYは不可。厚生労働省・石綿総合情報ポータルサイト |
1. 「DIYが本当に得」な代表3分野

① 内装解体(石膏ボード・造作・床のはがし)
- なぜ得か: 解体は人件費比重が大きく、DIYで“人件費”を置き換えやすいからです。相場は「人工(にんく)2〜3万円/日」「㎡・坪単価1.5〜5万円」のレンジが一般的(建物条件により上下)。悠ホーム株式会社
- ただしの条件: 養生・分別・粉じん管理・電気遮断の基本動作を外さないこと。これが守れないと処分費増や事故で結局割高に。
- 時短のコツ:
- 造作→器具→ボード→断熱材→残留釘ビスの順で撤去。
- 産廃は石膏・木・金属・ビニルで分けるほど処分効率良。
- 根拠: 相場情報(人工単価や坪単価)が明示されている公表ページを複数参照。公共工事の労務単価(国交省)も“人件費の重さ”の参考になる(設計労務単価は毎年見直し、全国加重平均は過去最高水準で推移)。国土交通
② 石膏ボード張り・パテ・塗装
- なぜ得か: 正しい手順をなぞれば品質が出しやすい“標準化された作業”で、資料が公的団体から無償公開されています。ビスピッチ・継ぎ目処理・下地条件が明記されているため、再現性が高い。gypsumboard-a.or.jp
- ボード要点: 周辺150mm・中間200mmのピッチ、T字ジョイントを避ける、開口コーナーの割付など(詳細は石膏ボード工業会マニュアル該当章を参照)。gypsumboard-a.or.jp
- パテ/塗装: 目地テープ→下塗→中塗→仕上げ、乾燥時間を守る。材料費が主で、手間は“自分時間”に置換できる。
- 落とし穴: 粉じん対策をケチると健康・掃除コスト増。集じん・防じんマスク(DS2)を用意。
③ 窓の断熱改修(内窓)
- なぜ得か: 窓は住宅の熱出入りの最大要因で、先に窓をやるのが費用対効果に優れる、という位置づけが公的・業界資料でも繰り返し示されています。既存住宅の多くが旧来の“アルミ+単板ガラス”で、内窓は効果が出やすい・DIYでも施工しやすい。日本サッシ協会
- 数値の根拠(例): 経産省系会議資料では2030年目標U値の目標や2020年度実績が示され、開口部性能向上が政策的にも重要テーマ。経済産業省
- 実務ポイント: 採寸は上下左右3点ずつ、歪みを数字で把握。室内結露や目地の気密処理も同時に見直すと効果が安定。
2. 「プロが結果的に安い/速い」代表5分野
① 屋根(葺替え・重ね葺き)
- 理由: 建設業の死亡災害の最大要因は墜落・転落。屋根作業は親綱・フルハーネス・仮設手配・役物納まり・雨仕舞など「安全×段取り×技能」の集合で、素人の学習コストと事故リスクが最も高い。プロのチーム施工は工程日数が短く、足場費も滞留しない=総合的に安い。厚生労働省
② 外壁重ね張り(通気胴縁+サイディング)、2階以上の外装塗装
- 理由: 足場・荷揚げ・通気層・役物・シールなど多工程で手戻りが致命的に高い。高所は屋根と同様に安全設備が前提。下地不陸や開口水切りの雨仕舞を誤ると後年の修繕費が跳ね上がる。結果的にプロが速くて安いケースが大半。
③ 電気工事(新設・増設・分岐、200V化、分電盤容量変更)
- 理由: 法的に有資格者の作業領域。器具の“同等交換”を超える行為は資格対象。事故・火災・保険無効のリスクが価格差を上回ります。OFFICE110
④ 給水・給湯配管の移設・増設
- 理由: 多くの自治体は“指定水道工事店”制度。違法施工は過料・給水停止等のリスク。見えない漏水の損害が高額。プロに任せる方が最終的に安い。水道屋ネット
⑤ アスベスト疑いのある解体
- 理由: 事前調査の義務化、一定規模以上は労基署への報告・届出、作業主任者、隔離養生、負圧集じんなど厳密な要件。DIYは資格がない限り不可ですので、気を付けましょう。厚生労働省
3. 「グレーゾーン(条件次第)」の代表4分野

① 排水(室内の短い経路入替)
- 判断軸: 勾配1/50〜1/100、曲がり最小、継手は面取り・捻り込み・止付。やり直しコストが高いので、勾配と漏れに自信がないならプロ。
- なぜ: 給水に比べ法的ハードルは低いが、生活影響・損害が大きい。
② キッチン・洗面の機器交換(位置を変えない)
- 判断軸: 配管は触らず器具交換中心ならDIY可。位置変更・回路増設が絡めばプロ。
- なぜ: 水漏れ・電気のリスク側に触れだすと一気に高リスク化。
③ フローリング全面張替え
- 判断軸: 時間に余裕があり、下地調整(不陸・根太ピッチ)を厳格にできる人はDIYで得。工期短縮が重要・巾木や建具見切りの仕上がり美観を重視ならプロで短期決戦。
- なぜ: 材料費は同等、差は手間と仕上がりの一貫性。
④ 窓の“外部側”工事(カバー工法)
- 判断軸: 止水・雨仕舞・外装絡みがあるため、外皮一体の段取りができるならプロ。内窓はDIY、外部カバーはプロ、で棲み分けが費用対効果最適になりやすい。
- 根拠: 窓の重要性(熱損失の主因)と、日本の既存ストックの窓性能が低いという政策・業界資料の共通見解。日本サッシ協会
4. 「プロの方が安くなる理由」は“人件費”だけではない

- 安全と工程短縮
- 屋根・高所は“安全設備の初期費用”が大きく、また墜落事故の比重が最大。プロは標準化された手順とチーム生産性で工期を圧縮=足場費・天候待ちリスクを削減。厚生労働省
- 品質の“やり直し”が高い領域
- 窓の外部側の止水・浴室防水・外壁の役物納まりは、1回のミスが数十万円〜の損害に直結。短期決戦+責任範囲が明確なプロの方が結局安い。
- 法規コスト
- 電気・給水・アスベストは法的制約がコスト差を決める。違法施工は罰則・ライフライン停止・保険不適合の可能性。OFFICE110
- 人件費の実勢水準
- 国交省の設計労務単価(公共工事の積算基準)は毎年見直し。ここ数年は上昇傾向で、“人件費を自分の時間に置換”できる領域ほどDIYの妙味が高い一方、専門技能と仮設を要する領域はプロの生産性に敵いにくい。国土交通省
5. 予算が限られているときの「勝ち筋」配分
- DIY側に寄せるべき核:内装解体/石膏ボード・パテ・塗装/内窓/建具調整・巾木
- プロに任せて“事故ゼロ&短期”で進める核:屋根・外壁(足場絡み)/電気の新設・増設/給水配管改造/浴室防水/アスベスト疑い部位
- グレーは“時間vs.やり直しコスト”で選ぶ:フローリング全面/排水の短距離やり替え/窓の外部カバー工法
この配分にすると、性能(窓)とコスト(解体・内装)をDIYで稼ぎ、事故・法規・やり直し高額領域はプロで最短処理という“全体最適”になりやすいです。
6. 即実行チェックリスト(1枚運用)
- ① 平面と立面に「DIY」「プロ」「グレー」を色分けして書き出す
- ② グレー領域は「やり直し時の損害額」と「仮設/安全の費用」を見積る
- ③ 窓は最優先:内窓で先に体感改善→外部側は後工程でプロ(足場共用)に回す。開口部優先は政策・業界資料でも妥当。日本サッシ協会
- ④ 内装解体はDIYで段取り力を養う(産廃は分別だけDIYでも可)。悠ホーム株式会社
- ⑤ 電気・給水・アスベストは最初からプロに相談(法令根拠あり)。OFFICE110
- ⑥ 屋根・外壁は足場計画と抱き合わせで短期決戦(墜落防止・安全手順の標準化)。厚生労働省
参考(根拠・出典)
- 国土交通省「公共工事設計労務単価」関連資料(人件費の構造・水準の把握に)。国土交通省
- 内装解体の相場・積算の考え方(複数サイトで相場帯をクロスチェック)。悠ホーム株式会社
- 一般社団法人石膏ボード工業会「石膏ボード施工マニュアル」(ビスピッチ等の標準)。gypsumboard-a.or.jp
- 経産省・環境省・国交省連携資料/業界資料:住宅の熱損失は開口部が最大、既存住宅の窓性能の課題。itakyo.or.jp
- 経産省審議会資料:窓U値の実績と目標(開口部性能向上の政策的位置づけ)。経済産業省
- 厚生労働省(建設業の墜落防止・屋根上作業のガイド)—高所は安全対策の体系が必須。厚生労働省
- 電気工事の資格要件(“DIYでできる範囲”は限定的)。OFFICE110
- 給水装置工事(指定工事店制度・DIYの限界とリスク)。水道屋ネット
- アスベスト(事前調査・届出・作業主任者等の義務化—DIY不可)。石綿総合情報ポータルサイト
さりげない道具・資材の導線(アフィリエイトを入れやすい箇所)
- 解体:レシプロソー替刃・マルチツール刃・産廃フレコン・防じんマスクDS2
- 石膏ボード:ビス(石膏ボード用)、ファイバーテープ、パテ、ローラー・刷毛
- 内窓:メジャー・レーザー距離計・シーリング材・気密テープ
まとめ(今日の意思決定)
- DIYで得:内装解体、石膏ボード・パテ・塗装、内窓、室内建具・巾木
- プロが速くて結局安い:屋根・外壁(足場絡み)、電気の新設/増設、給水配管改造、浴室防水、アスベスト疑い部位
- 条件次第:排水短距離のやり替え、全面床、窓の外部カバー工法
そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!
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