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世界・日本の建築・住宅関連アワード総覧(セルフリノベ派のための実務ガイド)

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Table of Contents

はじめに:なぜ「賞」を知ることがセルフリノベに役立つのか

みなさんこんにちは、DIY Renovaです。

リノベやDIYは「自分の好き」を形にする営みですが、同時に「安全・性能・持続可能性」を満たす建築的思考も欠かせません。

世界や日本の建築アワードは、ただ見た目が美しいだけではなく、「性能向上」「地域らしさ」「社会的インパクト」「環境配慮」という評価軸で選ばれる傾向があります。つまり受賞作を学ぶことは、セルフリノベでも失敗しにくい判断基準を手に入れることと同義です。

さらに、各国の自分のエリア内の施工業者が参加している場合は、万が一の時以来できる選択肢ともなりますね!

この記事では、国内外の主要アワードを「セルフリノベ視点」で読み解き、具体的に何を真似すれば良いかまで落とし込みます。

そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!

それでは、どうぞ。

本記事の読み方

この記事は、次の三層で構成しています。

  1. アワードの全体像と評価軸(世界/日本)
  2. セルフリノベに直結する「学びの抽出」(断熱・耐震・水回り動線・素材再利用など)
  3. すぐ使える実務チェックリスト(計画・材料・工程・撮影・応募の入り口)

後編では事例の観察ポイント、工程別の注意点、道具・材料のカタログ化、そして国内アワード応募のためのミニ・ロードマップをまとめます。


世界の主要アワードとセルフリノベへの示唆

RIBA国際賞(英国王立建築家協会)

世界中の建築を対象とし、「先見性・設計の卓越・社会的インパクト」を軸に2年ごとに選ばれます。住宅単体というより、地域やコミュニティに対する貢献も重視されるため、「住まいを超えて街とつながる」発想が学べます。例えば庭と歩道の境界を柔らかくする、共用のベンチを置くなど小さな介入でも近隣との関係性を改善できます。 architecture.com

学びの要点:

  • 住まいを閉じない設計。通風・採光・視線を近隣と上手に調整する。
  • 「使い方の多義性」を残す余白づくり。移動可能な家具や可動間仕切りで用途拡張。

アガ・カーン建築賞

イスラム文化圏を中心に、三年ごとに「社会・文化・環境」へ深い影響をもたらす建築を選出。地域材料の活用、コミュニティのレジリエンス、気候応答的デザインが特徴です。セルフリノベでは「既存材の再利用」「夏季の日射遮蔽」「自然換気の導線設計」などを優先順位上位に置くと良いでしょう。2025年サイクルでは7件が選ばれ、賞金総額100万ドル規模という大きさも含め、社会性の高さを象徴しています。 Aga Khan Development Network

学びの要点:

  • 地域の気候に合わせたパッシブ設計(庇・縁側・通風路・井戸端的な共用外部)。
  • 高価な新建材に頼らず、在来素材を賢く使う。

EUミース・ファン・デル・ローエ賞(EUmies Awards)

欧州域内の優れた現代建築を選ぶ隔年賞。公開アーカイブが充実し、住宅改修の優れた事例も多く学習可能です。気候変動への対応や循環型改修への意識が強く、部材更新と保存のバランス感覚が秀逸です。 EUmies Awards+1

学びの要点:

  • 断熱改修と外観保存の両立(外貼り断熱・内側断熱の判断基準)。
  • サッシ更新時の「気密・水密・結露」ディテール徹底。

ワールド・アーキテクチャー・フェスティバル(WAF)

部門別に世界の建築・内装をライブ審査するユニークなアワード。住宅改修や小規模改修もよく登場します。審査では「プレゼン能力」「プロセスの透明性」も問われるため、セルフリノベでも工程写真・図面・コスト表・失敗と修正の記録が資産になる、と教えてくれます。 worldarchitecturefestival.com

学びの要点:

  • 計画の意図と結果を言語化する。改修前後の性能値や家族動線の変化を記録。
  • ライブ審査の視点=第三者が理解できる「根拠資料」を整える。

ホルシム・アワード(サステナブル建設)

建築・都市・土木横断で「持続可能性+設計の質」を称える国際競技。賞金規模も大きく、評価軸が公開されている点が有益です。住宅改修でも「LCC(ライフサイクルコスト)」「LCA(ライフサイクルアセスメント)」を簡易でも試算し、材料選択の根拠にする習慣を持ちたいところです。

今後ほぼ必ず重視・規制強化される再エネや省エネ分野。ぜひ見ておきましょう! holcimfoundation.org

学びの要点:

  • 省エネ(断熱等級・一次エネルギー消費)×素材循環(再生材・分解可能な納まり)。
  • 住まいの「可変性」(将来間取り変更へ備える)=解体時の廃材削減。

オーベル賞(OBEL AWARD)

「人と地球に資する建築」をテーマとし、気候危機・都市課題・修復など毎年のキーワードで受賞作を選定。住宅規模でも「都市の課題を解くミクロなアイデア」を評価します。セルフリノベでも「ヒートアイランド緩和に寄与する植栽・雨水マネジメント」など、敷地の小さな対策が議論の的になります。 OBEL

学びの要点:

  • 雨水浸透・屋上緑化・打ち水的外構の再解釈。
  • 温熱だけでなく「音・匂い・光害」の環境品質も設計対象に。

アーキタイザー A+ アワード

デジタル露出に強い国際賞。一般投票と専門審査の両輪で、住宅・インテリア・小規模改修も多彩。DIYブログやSNS発信と相性が良く、プロセスの見せ方・撮り方・文章化が武器になります。 winners.architizer.com

学びの要点:

  • Before/Afterを超えた「ビヘイビア変化」の可視化(家事動線の歩数、昼光率の改善など)。
  • 写真だけに頼らず、断熱改修の温度推移グラフや騒音レベルの比較も提示。

日本のアワードとセルフリノベへの直結ポイント

リノベーション・オブ・ザ・イヤー(一般社団法人リノベーション協議会)

年間を代表するリノベ作品を費用帯や無差別級で選出。一般投票なども交え、住宅改修の最先端トレンドが横断的に見渡せます。セルフリノベ視点では「既存を活かしながら性能も底上げする」発想が通底しています。 renovation.or.jp

むしろ、このアワードは日本国内なので、気に入った施工事例の施工会社さんがいらっしゃれば部分的にプロに依頼したい分野について、相談先を見つけることだって可能ですね!

学びの要点:

  • 解体を最小限に留め、構造材・下地・建具を再活用してコストと廃棄を削減。
  • 余白を残す間取り(可動棚・可動間仕切り・仮設的な仕事コーナー)。

住まいのリフォームコンクール(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

全国の施工事例から、施主・設計・施工者を表彰。公的性格が強く、住宅リフォームの水準向上を目的としています。公的窓口が運営母体のため、法規・瑕疵・契約の観点も示唆が得られるのが強みです。 コードリファレンス

学びの要点:

  • 契約・見積・変更合意の「書面化」。工程と支払いのマイルストーン管理。
  • 紛争予防のための第三者相談窓口の活用を知る。

ジェルコ リフォームコンテスト(日本住宅リフォーム産業協会)

国内最大級のリフォーム関連団体が主催。デザイン部門・フォト部門など多角的で、受賞事例ページが充実しているため「部位別・テーマ別」の学習素材として有用です。 住宅リフォーム探しの日本住宅リフォーム産業協会 ジェルコ(JERCO)

学びの要点:

  • 実際のマンション・戸建のバリアフリー化、全館空調化などの具体ディテール。
  • 生活文化や家族構成に合わせた間取り再編の実例を大量に閲覧可能。

受賞作から見える「セルフリノベの勝ちパターン」

上記アワードの傾向を横断すると、次の共通項が見えてきます。

  1. 既存の価値を見つけて伸ばす
    構造材の見せ方、古い建具の再塗装、足場板や梁材の再用など、「もともとある魅力」を起点に設計することでコストと環境負荷を同時に下げます。これはリノベーション協議会の作品群にも色濃く見られます。
  2. 性能向上を同時に達成(断熱・気密・耐震・騒音)
    見た目優先のリフォームでは長期満足が得にくい。欧州のEUmiesやホルシムでは、気候適応・温熱・材料循環などの成果が重視され、住宅でも「快適性の数値化」が評価されます。 EUmies Awards
  3. 住まい方の変化を設計する
    バリアフリー、ワークスペース、二世帯など「行為の再設計」を伴う改修は評価が高い。ジェルコの受賞例やWAFのプレゼン形式からも、「暮らしの前後比較」を言語化する重要性が読み取れます。 住宅リフォーム探しの日本住宅リフォーム産業協会 ジェルコ(JERCO) |+
  4. 小さな外構でも環境に寄与
    OBELのテーマ性は、個人邸でも雨水マネジメント・日射調整・微気候づくりが価値になることを示唆します。 OBEL

工学的に押さえたい基礎(素人でも判断できる最低限)

ここはセルフリノベの「勝ち筋」を工学的に下支えする要点です。難しい式は避け、判断に必要な概念だけを要約します。

  • 断熱と結露
    内側断熱は施工が容易ですが「断熱材の裏側で結露」しやすいケースがあります。外側断熱は構造体を暖かい側に置きやすく結露に強い一方、意匠やコストの制約が出ます。欧州の事例群(EUmies)では、既存外観保存と結露リスクの両立にディテールで応える流儀が定着しています(気密シートの連続性・開口部まわりの防水立ち上げ・通気層の確保など)。 EUmies Awards
  • 気密と換気
    気密を高めると隙間風が減り、暖冷房効率が向上します。ただし機械換気の計画(第1種〜第3種)や自然換気の経路設計が必要です。RIBAやホルシムの思想でも「性能+健康性(CO₂濃度・湿度)」がセットで語られます。 architecture.com+1
  • 耐震補強
    既存木造では、耐力壁のバランスと連続性、接合金物の確実な取り付けが基本です。室内側からの合板増し張りで剛性を上げつつ、開口部の偏りを避けます。これは日本のコンクール受賞事例の技術解説でも繰り返し登場します(応募要項・審査講評での指摘)。 コードリファレンス
  • 騒音対策
    床は「質量則」で重く、壁は「多層化」で透過損失を稼ぎます。サッシは気密等級を指標に選び、カーテン・ラグでの簡易吸音も併用します。A+アワード等で見られる室内音環境の改善事例は、図表化して見せると説得力が増します。 A+Awards

セルフリノベ向け「即使える」観察シート

受賞作を眺めるとき、次の観点でチェックすると学びが深まります。

  • 素材:新規・再利用の比率、どの部位に再利用を当てたか
  • 性能:断熱・気密・日射遮蔽・通風・遮音のどれを優先したか
  • 動線:家事三角形(キッチン・洗濯・物干し・収納)の距離、段差解消
  • 外部:雨落ち・排水・植栽・近隣との関係性
  • コスト:工事費の山谷、どこにお金を集中投下したか
  • プレゼン:工程写真・断面図・温湿度や消費電力のデータ化

これらはWAFのライブ審査やA+アワードの公開事例で学べる「伝わる見せ方」の要諦です。 worldarchitecturefestival.com



日本でまず見るべき受賞ページの回り方


法規と安全の最低ライン(日本での前提)

  • 構造:壁の撤去・開口拡大は安易に行わない。必要なら構造設計者に相談。
  • 防火:準防火地域・22条区域では外装材・開口部仕様の制約あり。
  • 設備:給排水の勾配・通気、電気の回路容量、アース、分電盤の余裕は必ず確認。
  • 近隣調整:工期・騒音・粉じん・搬入出動線の掲示。

これらは公的コンクールの審査観点にも通じます。「法律を踏まえたうえで暮らしを良くする」ことが、受賞作の普遍的条件です。 コードリファレンス

受賞事例を「読み解く」観察テンプレート

受賞作を見るときの視点が定まっていると学びの密度が一気に高まります。下のテンプレートをコピペして、気になる事例ごとに埋めていくとよいです。

  • プロジェクト名/所在地:
  • 既存の問題点:「冬の寒さ」「夏の西日」「家事動線が長い」「音が響く」など。
  • 解決の仮説:「断熱補強」「日射遮蔽」「収納の再構成」「吸音材の追加」など。
  • 素材構成:新規材/再利用材の内訳。再利用はどの部位か(建具、床板、梁、足場板、造作棚など)。
  • 性能指標:断熱(窓・壁・天井の仕様)、気密(すきまの連続的な塞ぎ方)、換気(機械or自然)、遮音(床・壁多層化、サッシ等級)。
  • 動線設計:キッチン—洗濯—収納の距離、玄関の土間拡張、回遊動線の有無。
  • 微気候・外構:庇や植栽の役割、雨水の流れ、近隣との視線調整。
  • コスト配分:性能に厚く、仕上げは素朴に等、「どこにお金を掛け、どこで引き算したか」。
  • 記録と表現:改修前後写真、断面スケッチ、温湿度やCO₂の実測、電気代推移のグラフ化。WAFの公開審査でも「プロセスの可視化」が重視されており、家庭規模でも応用しやすい観点です。

上のテンプレートで「暮らしの前後比較」が言語化できると、アーキタイザーA+アワードのような一般投票型でも伝わりやすくなります(写真だけでなく数値・図版の説得力が響きます)。


工程別チェックリスト(素人でも安全・確実に積み上げるために)

解体前

  • 図面化:最低限、平面寸法・柱梁推定位置・下地方向・配管ルートを簡略図で残します。
  • 仮設養生:床・建具・既存設備を傷から守る。粉じん対策で養生ポリ、養生テープ。
  • 電気・給排水:ブレーカー位置、系統、止水栓の確認。回路容量(ブレーカーのA)、残容量も把握。
  • 近隣掲示:工期、作業時間、連絡先、粉じん・騒音配慮の旨。日本の公的コンテストでは「紛争予防」の視点が重視され、工程計画と説明責任が基礎体力になります。

解体

  • 下地方向・配線・配管の「見える化」写真を大量に残す(後の施工判断が速くなる)。
  • 廃棄物の分別:木くず、石膏ボード、金属、プラ。リユースできる建具・フローリング・造作材は確保。
  • 石膏ボードの下の気密シートの有無を確認(あれば丁寧に貫通部を補修)。

下地(木下地・軽天)

  • 通り・通芯・水平をレーザーで確認。床は根太のレベル出し、壁は胴縁で「面」を作る。
  • 将来可変のために合板下地を仕込む(飾り棚や手すり増設がしやすい)。
  • 造作のビスは下地に確実に効かせる(下地探し併用)。

断熱・気密

  • 天井:既存天井裏にグラスウール/セルロースブローイング、気流止めを確実に。
  • 壁:内側断熱は防湿・防露に配慮(室内側の連続気密、開口部周りの立ち上げ、防水テープ)。外側断熱は通気層と防雨対策が要。欧州の受賞事例群では、意匠と結露リスク低減を両立させるディテールが重視されています。
  • 床:根太間断熱+気流止め。床下点検口の気密も忘れずに。

窓・日射・換気

  • 窓更新:サッシ等級、ガラス構成(Low-E、アルゴン)を用途で選択。既存枠利用の内窓でコスト対効果が高いケースも多い。
  • 庇・すだれ・外付けブラインド:夏の日射熱取得を抑え、冬は入れる。地域文化に根差した日射制御はアガ・カーン賞の思想とも親和性が高いです。
  • 換気:気密を上げたら、計画換気(第1種・第3種)か、温度差・風圧差を使う自然換気の経路を設計。

耐震

  • 壁量バランス:偏心を抑え、開口が集中する壁は合板増し張りや筋交い補強。
  • 連続性:基礎—土台—柱—梁—小屋組を金物で連続化。
  • 既存の劣化:土台・柱脚の腐朽、シロアリ痕の有無を点検。必要に応じて専門家相談。

設備(電気・水・空調)

  • 電気:回路の増設は安全第一。キッチン・エアコン・浴室乾燥・EV充電は専用回路を検討。
  • 水:通気管・勾配・トラップの基本を守る。配管は将来点検可能な経路で。
  • 空調:戸建なら「全館空調的」発想も検討価値あり。ジェルコの受賞事例にも全館空調への改修が登場しています。

仕上げ・メンテ

  • 壁天井:下地を整えてから薄塗り・クロス・塗装。
  • 床:既存フローリングのサンディング再生、上張り、自然オイル仕上げ。
  • メンテ性:「いつか交換する前提」で分解しやすい納まりを選ぶ。ホルシムの評価軸にある「ライフサイクル思考」に通じます。

記録(写真・数値)

  • 写真は広角に頼り過ぎず、歪み補正。露出とホワイトバランスを固定。三脚で定点。
  • 室内環境:温湿度・CO₂・電力・騒音dBを定点観測。「暮らしがどう変わったか」を見せる武器です。A+やWAFの審査コミュニケーションと相性が良い可視化!?

予算別・効果別「セルフリノベ」メニュー(例)

以下は戸建/マンションで汎用的に効く、コスパの良い順序案です。

〜5万円

  • 気密のスキマ埋め(窓・配管貫通部、点検口)
  • カーテン/ロールスクリーンの遮熱・断熱グレードUP
  • 簡易吸音(ラグ、布パネル)
  • 計測機器の導入(温湿度ロガー、CO₂センサー)

〜20万円

  • 玄関ドアの気密改善/モヘア交換
  • 水回り動線の小改修(可動棚、ワゴン導入、照明配置変更)
  • 内窓の追加(主要居室だけでも効果大)

〜50万円

  • 天井断熱の補強(小屋裏アクセス可能ならDIY寄り)
  • 壁一面だけの内側断熱+可動棚造作(熱橋が出ない部位選定)
  • 既存フローリングの研磨再生+自然塗装

〜100万円

  • サッシの入替(優先順位の高い方角から)
  • 既存外壁の通気改善+外装メンテ
  • 収納の再編成と回遊動線化

〜300万円〜

  • 間取り再構成+耐震・断熱の包括改修
  • 全館空調的な空気の流れの再設計(ダクト・吹出口計画)
  • 外構(庇、緑化、透水性舗装、雨水マネジメント)

住宅アワードの受賞傾向では「性能×暮らし方×環境性」の三点セットが強いことを忘れず、ここでもバランス良く投資します。EUmiesやホルシムの評価軸に近づく思考かもしれません。


応募の入り口(国内)

  • リノベーション・オブ・ザ・イヤー:年ごとの募集要項・費用帯・提出物(写真、図面、テキスト)が明記。まずは昨年の受賞ページを「費用帯」から遡って見るのが効率的です。
  • 住まいのリフォームコンクール:応募手引きに「目的」「審査観点」「必要書類」が整理されます。公的性格が強く、発注者との関係、契約、紛争予防の観点に学びが多いです。
  • ジェルコ リフォームコンテスト:部門多様。過去の受賞事例の写真と要約が実務のヒントになります。

提出物に共通するコツ:

  • Before/Afterの同一アングル写真(露出・WBを統一)。
  • 図面は「現状」「計画」「断面・詳細(1〜2点)」の最小三点セット。
  • テキストは「課題→仮説→手段→結果(数値・行動の変化)」の順。
  • 可能なら「温度・湿度・CO₂・電力・騒音」の簡易実測をグラフ化。

海外のアワードに挑戦する(情報発信を兼ねて)

  • WAF(World Architecture Festival):応募はプロ主体ですが、小規模改修でも「プロセスを語る力」が鍵。英語の100〜300語で「課題→解決」の骨子を箇条書き化してから文章化すると書きやすい可能性があります。
  • Architizer A+ Awards:一般投票の衆目を集めるには、写真だけでなく「暮らしの定量的変化」を1枚グラフにまとめることも一つのアイデアかもしれませんね(歩数、明るさ、温湿度など)。
  • OBEL/Holcim:サステナビリティに関する分野なので地球規模課題の文脈を自邸に縮約して語れると響くでしょう(雨水の地中還元、外皮改修で冷暖房負荷削減等)。応募要項の評価軸が公開されるので、要件に沿って整理しましょう。

よくある落とし穴と回避策

  • 断熱だけ強化して換気を忘れる:「結露」「臭気」「CO₂蓄積」で逆効果。気密強化と換気計画はセットです。RIBAやホルシムの思想でも「性能×健康性」の両輪が語られます。
  • 壁を抜きすぎる:構造バランスが崩れて揺れやすくなる。耐力壁を図示し、偏りを抑える。必要なら専門家相談。
  • 水回りの移動で勾配不足:排水不良・臭気逆流の原因。計画段階でレベル差を検討。
  • 提出の場合は写真が「映え」だけ:審査では根拠のある改善が見られます。小さくても数値のグラフを一つ添えると説得力が段違い。

日本の法規・安全「最低限」

  • 構造:耐力壁の撤去・大開口化は安易に行わない。
  • 防火:準防火地域等では外装材・開口部に制限。
  • 電気:専用回路が必要な機器(IH、食洗機、エアコン、浴室乾燥等)を増設する場合は分電盤容量と系統設計を要確認。
  • 水:トラップ・通気・勾配を守る(におい対策)。
  • 近隣:作業時間帯・粉じん・騒音・搬出入の事前説明。
    これらは国内アワードの応募要項や審査講評に通底する視点でもあります(紛争予防・安全・性能)。

まとめ:賞を「設計のものさし」に変える

  • 世界のアワードは「社会性・環境性・性能」を重視し、日本のアワードは「実務の堅実さと生活の質」を強く見ます。両者を合わせると、セルフリノベでも「気持ちよく長く住める家」への道筋が見えます。
  • 観察テンプレートと工程チェックリストを使って、写真・図面・数値で前後比較を残しましょう。これは家族の合意形成にも効きますし、対外的な発信や応募の下地にもなります。
  • 予算は「性能(断熱・気密・換気・耐震)」「暮らし(動線・収納)」「外構(微気候)」にバランス配分。環境貢献の視点(雨水、緑化、分解可能な納まり)は、海外評価軸とも響き合います。

この記事が、セルフリノベを「世界標準のものさし」で見直すきっかけになれば嬉しいです。

そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!


参考資料・敬意を込めて

  • RIBA International Prize(英国王立建築家協会):受賞作と評価軸の公開ページ。
  • Aga Khan Award for Architecture:地域性・社会性・環境性の高い事例が揃う。
  • EUmies Awards(欧州現代建築賞 ミース・ファン・デル・ローエ賞):欧州の改修事例と技術的ディテールが学べる。
  • World Architecture Festival(WAF):ライブ審査の様子と応募要項。
  • Holcim Awards for Sustainable Construction:評価フレームと受賞作ドシエ。
  • OBEL AWARD:気候・都市課題にアートと建築で応答する受賞アーカイブ。
  • Architizer A+ Awards:一般投票と専門審査の両輪。写真と情報デザインの参考に。
  • リノベーション・オブ・ザ・イヤー(一般社団法人リノベーション協議会):国内の費用帯別アーカイブが非常に学びやすい。
  • 住まいのリフォームコンクール(住宅リフォーム・紛争処理支援センター):公的性格が強く、審査観点が実務に直結。
  • ジェルコ リフォームコンテスト(日本住宅リフォーム産業協会):部門ごとの受賞事例に写真と解説が充実。


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