住宅フルリノベの水道屋さん、どう探す?選び方の3軸と相談先別の使い分け

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はじめに:この記事でわかること

住宅をまるごと直すフルリノベは、給水・給湯・排水のほぼ全てを引き直すケースが多く、水道屋さんの腕と段取り力が仕上がりとコストの両方を大きく左右します。一方で、入口の「どこに頼めばいいのか」のところは情報がまばらです。「自分の住んでる自治体の外の業者でもいいの?」「くらしのマーケットみたいなマッチングサービスで頼んでも大丈夫?」「見積りの何を見て選べば後悔しない?」といった、相談先選びそのものの悩みは、専門書にも意外と書かれていません。

この記事は、フルリノベを前提に「水道屋さんの探し方・選び方の視点」だけにフォーカスしてまとめます。具体的な施工の進め方や、依頼するタイミングの段取り、DIYでどこまで触っていいかの法的な線引きについては、それぞれ別記事で詳しく扱っていますので、必要に応じて行き来してください。

なお、依頼タイミングの時系列整理は別記事「水道屋さんへの依頼タイミング完全ガイド」、DIYと指定業者の境界線は別記事「水道工事をDIYで進める時の指定給水装置工事事業者・排水設備指定工事店との境界線」、ユニットバスやキッチンの先行配管の実務は別記事「ユニットバス・キッチン施主支給DIYの先行配管完全ガイド」をあわせて読むと立体的に理解できます。

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また、本資料が必ず正しいということではなく、あくまで参考情報としてみてくださいね。

それでは、どうぞ。

大前提:水道工事は誰でもできるわけではない

最初に押さえておきたいのは、宅地内の給水管・給湯管を本管に接続する工事は、水道法と各自治体の条例で「指定給水装置工事事業者」しか施工できないという事実です(厚生労働省, 2024)。排水も多くの自治体で「排水設備指定工事店」が定められています。つまり、フルリノベで配管を全部引き直す以上、どこかの段階で必ず指定業者の手が入る前提になります。

この「指定」は自治体ごとに発行されており、A市の指定はA市内の本管接続工事についてだけ有効です。隣のB市で本管接続をやるなら、その業者がB市の指定も別に取っている必要があります。多くの水道屋さんは近隣自治体の指定をまとめて取っていますが、県をまたぐような遠方だと指定外で本管接続ができないケースが普通にあります。ここがまず、「自治体の外の業者に頼んでいいのか問題」の出発点です。

自治体の外の業者に頼んでもいいの?

結論から言うと、「工事の中身による」が答えです。

宅内側の配管、つまりメーターから先の給水・給湯、宅内の排水ヘッダーまでの作業は、指定業者でありさえすれば実務上どこの自治体の指定でも通ります。これは、配管を引き回し、継ぎ手を作り、水栓に接続するという現場仕事だからです。物理的に「その自治体の指定」が必要になるのは、本管接続・量水器(メーター)まわり・公共桝への取付など、自治体のインフラ側に手が入る部分です。

したがって、現実的な頼み方は次のどれかになります。

ひとつめは、「自分の自治体に指定登録のある業者に一括で頼む」パターン。話が早く、本管接続から宅内配管まで責任が一本化されます。フルリノベならまず第一候補に置いてください。

ふたつめは、「自治体外の腕の良い業者に宅内側だけ頼み、本管接続は別の地元指定業者に分業する」パターン。コスト削減や、すでにつき合いのある県外の水道屋さんを使いたいときに使われます。ただし、責任分界点をどこに置くかを最初に紙で明確にしないと、不具合時にお互いが押し付け合うリスクがあります。フルリノベでこの形にするなら、設計段階で図面を共有し、立ち合いの段取りを決めておくのが必須です。

最後に、自治体の指定すら持っていない業者は、本管に触れる工事については論外です。「うちは指定取ってないけど安くやれます」と言ってきたら、宅内側の作業以外は絶対に任せないでください。法令違反になるうえ、施工後の検査が通らず通水できない事態になります。

頼み方の3パターンとフルリノベでの向き不向き

水道屋さんへの頼み方は、大きく3ルートに分かれます。フルリノベ案件を念頭に整理します。

パターンA:地元工務店・リフォーム会社の元請経由

工務店に「水道工事もまとめてお願いします」と頼む形です。元請が下請の水道屋さんを手配し、施主は工務店とだけやり取りします。

メリットは、他職種との段取りを工務店が全部巻き取ってくれること。フルリノベは大工・電気屋・ガス屋・タイル屋・内装屋さんが順番に入る複雑な現場で、誰がいつ入るかの調整が肝になります。元請に任せれば、ここの調整コストはゼロです。

デメリットは、中間マージンが乗るので水道工事費が単独発注より高くなりがちなこと、そして下請の水道屋さんを施主が選べないこと。元請の手配する業者が、たまたま腕や愛想がいまひとつでも、施主側からは交代を強く言いづらいです。フルリノベ全体を工務店に任せている前提なら、この方式が一番ストレスは少ないです。

パターンB:水道屋さんに直接発注(分離発注)

施主が水道屋さんを自分で探して直で契約するパターンです。設計事務所が分離発注を前提に組んでいる現場や、施主自身がDIYで一部を回す現場で多い形です。

メリットは、中間マージンがないことと、業者を自分で選べること。腕の良い水道屋さんを見つければコスト・品質ともにベストになります。

デメリットは、他職種との段取りを施主側で巻き取らないといけないこと。水道屋さんは「いつ入ればいいの?」を施主か元請に聞きます。フルリノベは、解体直後の床下に潜って配管を仕込む先行配管、断熱・床仕上げ前の最終調整、ユニットバス据付時の接続、キッチン据付時の接続、最後の通水試験、と少なくとも4〜5回現場入りがあります。これを自分で全部組むのは、本業がある人にはなかなか重いです。

パターンC:くらしのマーケット・ミツモア等のマッチングサービス

近年急増している、ネット型のマッチングサービス経由のパターンです。施主が条件を入れると、複数の業者が見積りを返してくれます。

メリットは、相見積りが取りやすく、口コミ・評価が見えるので心理的ハードルが低いこと。「水栓ひとつだけ交換」「混合栓の交換」「トイレの取付」みたいな小規模単発工事には非常に便利です。

デメリットは、フルリノベ規模の長期案件、複数職種が絡む案件には向きにくいこと。マッチングサービスの多くは単発の作業を前提に料金体系が組まれていて、図面を見ながら設計段階から相談に乗ってくれる業者は限定的です。また、出店業者によっては「指定給水装置工事事業者」の登録を持っていない(小規模修繕しかやらない)業者も混じります。フルリノベで本管接続まで含めて頼むなら、必ず指定登録の有無を最初に質問してください。

実用的な使い分けは、フルリノベ全体はパターンAかB、リノベ後の単発の改修や小規模なトラブル対応にパターンC、という棲み分けが現時点では現実解です。

信頼できる水道屋さんを見極める6つの視点

業者と話して「ここは大丈夫そう」「ここは怪しい」を判断するための具体的な視点を、6つに絞って整理します。

視点1:指定給水装置工事事業者の登録番号を出せるか

電話やメールで「御社の指定登録番号と発行自治体を教えてください」と聞いて、即答できる業者は信頼度が高いです。各自治体のホームページで指定業者一覧が公開されているので、突き合わせれば登録の事実確認は5分で済みます。「うちは大丈夫です」とふわっと答える業者は要注意です。

視点2:見積りが「一式」ではなく明細で出てくるか

「給水給湯一式 30万円」みたいな見積りを出してくる業者は、フルリノベでは避けてください。フルリノベの配管工事は、本管接続費・架橋ポリ管やさや管の長さ・継ぎ手数・水栓接続点数・通水試験費・諸経費が、それぞれ独立して計算できます。明細で出てこないと、後から「ここは含まれてません」「ここは追加です」とやられがちです。最低でも工種別(給水・給湯・排水)に分かれていて、材料費と工賃が別記載されている見積りを基準にしてください。

視点3:保証期間と保証範囲が紙で明示されているか

水回りの不具合は、施工直後ではなく数年後に出てくるパターンが多いです。一般的に、配管工事の保証は1〜2年が業界的な相場です(住宅設備機器は機器メーカー保証が別途)。「うちは10年保証です」のような口頭だけの大盤振る舞いは、書面に落ちていないとほぼ意味がありません。逆に「1年保証だが内容は明確」の方が、運用としては圧倒的に信頼できます。

視点4:他職種との段取り経験があるか

フルリノベの水道屋さんは、大工・電気屋・ガス屋・内装屋と現場で会話します。「この壁に上下給水の立ち上げを仕込みたいので、大工さんに間柱の位置を◯◯センチで頼んでください」みたいな調整ができる業者と、「言われた図面通りにしか入れません」という業者では、現場のスムーズさが段違いです。電話で「キッチンとUBの先行配管はどう仕込むことが多いですか」と聞いて、姿図の話・寸法の話が即座に出てくる業者は経験が厚いと判断できます。先行配管の実務そのものは、別記事「ユニットバス・キッチン施主支給DIYの先行配管完全ガイド」で詳しく扱っています。

視点5:レスポンスの速さと一貫性

見積り依頼の返事が3日以内に来るか、現場の質問に当日〜翌日中に返ってくるかは、フルリノベ期間中の精神安定にかなり効きます。フルリノベは数か月のプロジェクトで、その間に何度も判断が必要になります。レスポンスが遅い業者は、現場が止まる原因になります。

視点6:金額が極端に安すぎないか

相場の半額みたいな見積りを出す業者は、ほぼ確実にどこかが抜けています。本管接続が含まれていない、通水試験費が別、指定外で許可申請ができないので施主が別途手配、といった「あとで追加」が出てきます。複数社に同じ図面・同じ条件で相見積りを出してもらうと、極端な外れ値が一目でわかります。最低3社、フルリノベなら4〜5社の相見積りを取るのが安全圏です(国土交通省, 2023)。

フルリノベ特有の論点:規模と段取り

フルリノベの水道工事は、単発の修繕とは規模が違います。給水・給湯・排水の3系統を全部引き直すと、宅内配管だけで数十メートル、継ぎ手は数十か所、水栓接続は7〜10か所(キッチン・洗面・浴室シャワー・浴室カラン・洗濯・トイレ給水・屋外水栓など)になります。これだけの規模になると、業者の経験量がそのまま品質に出ます。

特に他職種との段取りは、フルリノベ案件の難易度を一段押し上げます。解体直後に床下に潜って先行配管を仕込み、その後に大工が床組み・断熱を入れ、電気が配線、内装が下地、最後にUB・キッチン据付で水道屋さんが再登場、という流れが基本です。この入退場の段取りを、業者・元請・施主の誰がコントロールするかは、最初に決めておかないと現場が止まります。

工務店経由なら元請が、分離発注なら施主か設計事務所が、ハブの役割を引き受ける必要があります。マッチングサービスの単発業者だと、このハブを引き受ける動機がそもそもないので、フルリノベ全体を任せるのは無理だと考えてください。タイミングそのものをどう刻むかは、別記事「水道屋さんへの依頼タイミング完全ガイド」を参照してください。

業者と最初に話すときに聞くと良い質問リスト

業者選定の電話・メールで最初に投げると、相手の力量と相性が一気に見える質問を6つ挙げます。

ひとつ、「御社の指定給水装置工事事業者の登録番号と発行自治体を教えてください」。最低ライン。

ふたつ、「フルリノベ規模(給水給湯排水を全部引き直す)案件は年間何件くらい入っていますか」。年間ゼロ〜1件の業者は、単発修繕がメインで、フルリノベの段取り経験が薄い可能性があります。

みっつ、「他職種(大工・電気・ガス・内装)とは現場でどんな順番で入ることが多いですか」。即答できる業者は経験が厚いです。

よっつ、「キッチンとユニットバスの先行配管は、姿図ベースで現場合わせで仕込みますか、それとも据付当日に位置決めしますか」。前者が望ましい回答です。後者だと据付当日に必ず手戻りが出ます。

いつつ、「見積りは工種別の明細で出してもらえますか。一式表記は避けたいです」。これに渋る業者は、最初から外して大丈夫です。

むっつ、「保証期間と保証範囲は書面で出していただけますか」。これも紙ベースで出る業者だけが、信頼できます。

まとめ:選び方の3軸を決めて、ルートは案件規模で使い分ける

フルリノベの水道屋さん選びは、「指定登録の有無」「見積りの透明性」「他職種との段取り経験」の3点が三大軸です。これを満たす水道屋さんを、地元工務店経由・分離発注・マッチングのどのルートで見つけてもよく、フルリノベ規模なら工務店経由か分離発注、単発修繕ならマッチング、と棲み分ける形が現実的です。

自治体の外の業者を使いたい場合は、本管接続だけ地元の指定業者に分業するのが安全です。指定がない業者に本管に触らせるのは法令違反になり、検査も通りません。法的な線引きの詳細は、別記事「水道工事をDIYで進める時の指定給水装置工事事業者・排水設備指定工事店との境界線」をあわせて読んでください。

DIY Renova では、この記事の「選び方」と並行して、「いつ頼むか」の依頼タイミング、DIYでどこまで自分でやってよくて、どこから先は指定業者の独占領域になるかの法的な線引き、UB・キッチンの先行配管といった、水道工事まわりの隣接トピックを揃えています。

そもそも自分の家のリノベーション・リフォームってどこまでやっていいの?どこから始めればいいの?というかたはこちらから。具体的なリフォームの工程や施工などについて知りたい方はこちらのページも是非ご覧ください!

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それでは!

参考文献

  • 厚生労働省 (2024). 給水装置工事主任技術者制度の概要. 厚生労働省ホームページ.
  • 公益社団法人 日本水道協会 (2023). 給水装置工事事業者の指定制度に関するガイドライン.
  • 国土交通省 (2023). 住宅リフォーム事業者の選び方ハンドブック.
  • 内閣府 国民生活局 (2022). 住宅リフォーム工事における消費者トラブル相談事例集.

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